内容説明
有名彫刻家に嫁いだ姉の家を訪ねた、美大生・美和と友人・冴子。そこで瀕死の状態の姉・雅子を発見する。病院に運ばれた雅子は、一命は取り留めるものの記憶喪失に陥った。雅子が運び出された後のアトリエは密室状態、そして夫は行方不明。自殺未遂、殺人未遂の両面で警察の捜査が進む中、美和は、冴子とともに独自の調査をはじめる。姿を消した義兄の行方を追う中で、事件の意外な真相が明らかになっていく。美術界の暗部で起こった事件に、女子大生コンビはいかなる推理を導き出すのか――。軽妙なタッチでつづられた黒川博行の初期本格作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
65
「キャッツアイころがった」と同じく女子大生コンビの探偵話だが、本作は本格ミステリとして緻密な設定が為されている。美大生の冴子は親友の美和と彼女の姉の家を訪ね、ガスの充満したアトリエで倒れている姉を助け出す。アトリエは密室になる様にトリックが施され、姉の夫は不可解な行動をしていた。女子大生二人の生活や美術の知識が、キチンと謎を解く伏線になっていたり、逆にミスリードを仕掛けていたり、構成に無理が無く考えられている。女子大生の美術的な推理と、警察ならではの仕事と、両面から犯人に迫る展開も息を吐かせぬ良作である。2017/08/28
Kaz
28
「疫病神シリーズ」「後妻業」で知られる著者の初期の作品。極道モノではなく、本格派ミステリー。美術業界の事情がリアルに伝わってきたのは、さすがに芸大卒の著者の持ち味。彼の作品に共通するのはテンポが良く、気取らない関西弁の会話。大阪育ちの私には、気分良く読み進めることができる。ただ、関西弁は真面目な刑事物よりも、極道モノの方が雰囲気でるよね。笑ったのは、盛んに出てくる食事の後に、「トイレに行ってくる」「行っトイレ」という会話。これだけでなく、関西弁の会話はほっこり温まる。しかし、真面目な刑事は大阪らしくない。2018/04/19
ヨーコ・オクダ
21
これも「キャッツアイころがった」と同様、女子大生2人組が探偵役。30年ほど前に出た徳間文庫版の装丁は、黒川センセの奥様によるデザインらしい。密室、偽装自殺、死亡日時トリック、アリバイトリック等々、ミステリネタが盛りだくさんなところに、黒川センセお得意の美術界の裏事情プラスその世界独特の犯行技術を絡めてある。京都と西宮を行ったり来たりしつつ、事件は解決。関西に土地勘がない人はちょっとしんどいかも?今回は、女子大生2人組VS警察による推理ごっこは引き分けって感じ。2016/06/27
Hideo
16
角川文庫で復刊されたのを読む。まだ黒川氏が美術教師しながら書いていた初期の作品。美大の女学生コンビが彫刻家夫人の自殺未遂?に端を発する事件を、警察を向こうにまわして捜査していく。途中、二転三転する真相に辿り着くまで、トリックがなかなか面白い。当時の女学生はこんなに語彙が豊富だったんだろうか?自分の田舎である京都市内の地名がたくさん出てきて懐かしい。2022/12/24
sakadonohito
16
美大生2人が探偵ごっこ。素人と警察、先に真犯人を見つけるはどちらか。密室と容疑者達のアリバイ、仕掛けが色々。軽妙な関西弁でのやりとりのおかげで読みやすい。2022/01/26
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