カール・マルクス

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カール・マルクス

  • 著者名:吉本隆明
  • 価格 ¥517(本体¥470)
  • 光文社(2012/09発売)
  • ポイント 4pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784334740429
  • NDC分類:289.3

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内容説明

かつて混迷の政治の季節、虚飾にまみれたマルクスを救出するべく、その人物と思想の核心を根柢から浮き彫りにした吉本隆明。その営為は、敗戦体験を出発点に掘り下げられた思考の行程のひとつの達成を意味した。そして今、迷走する21世紀の〈現在〉、日本史上最大の思想家の手になる世界史上最大の思想家の実像が、再び立ち上がる。

目次

カール・マルクス(マルクス紀行 マルクス伝 マルクス年譜ノート ある感想)<br/>カール・マルクス小影<br/>ラムボオ若しくはカール・マルクスの方法に就いての諸註

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

39
同名の単行本が66年に出版されていて、再構成された本書が06年という本だ。巻末で中沢新一が「ボロメオの輪」を使って解説している。同じ「ボロメオの輪」を使って斎藤環が柄谷行人の交換様式を論じていて、両者は重なる。〈自然〉哲学→ネーション=互酬、宗教・国家・法→ステイト=収奪と再配分、市民社会の構造→商品交換=経済。尚、両者ともラカンの三界にあてはめているが、両者の見解は相違している。本書をきっかけにして様々調べたが、マルクスの射程は『資本論』に留まらないことに気付いた。2023/07/10

Gotoran

9
E.フロム「生きるということ」、K.ウイルバー「万物の歴史」繋がりで読む。数多くの類書と一線を画して、思想家吉本隆明氏が、“マルクスその人”の人生に新たなひとつの全体性を付与した本書。エピクロスの自然哲学から創出された「疎外」という概念を基に、ヘーゲル、フォイエルバッハを昇華して、「賃労働と資本」、「資本論」へと至るマルクスの思想過程を、著者の深い洞察力に満ちた解釈・考察で、読み手を知的好奇心の世界へ導いてくれた。思想家独特の筆致で難解ではあったが、興味深かった。また、巻末の解説[中沢新一氏]が↓2012/01/15

氷柱

8
265作目。12月8日から。上司から借りた本パート1。言い回しが固く内容も多岐に渡るように見えるけど、主張はとてもシンプル。入れ物と本質は別物であるとのこと。労働や商品や自然とその価値は別物であり、経済の交換の場でのバランスの取られ方について説かれている。価値は質によって生み出されるのか、注ぎ込まれた時間に左右されるのか。質と使用価値が別物だという説も面白い。物の存在価値は経済の中で貨幣と商品という形態を交互に取りながらその都度決定されていくのだと。複雑な流れの中で予測できない価値の変動が行われている。2016/12/10

mstr_kk

4
すごく分かりにくい箇所が多々あったが、マルクス理解というよりも、吉本理解に役立った。本質性(自然哲学)/現実性(市民社会)/幻想性(宗教、法、政治国家)という三幅対は、吉本隆明のこの時期の著作を理解するために、たいへん便利な補助線になる。ただ、中沢新一さんの解説のような形では、ラカンの三界理論には対応していないと思う。そこが吉本さんの独自性である。2013/03/17

6 - hey

4
いい本には色々な読まれ方があるし、あっていいと思っています。吉本先生は資本論を「疎外」をキーワードに読んでらっしゃったようですが・・・正直自分にはおいつけません(笑) ただ、マルクスを「マルクス主義」としてではなく、市井の学者の一人として冷静にとらえようとする視角にはまったくの同意。 どんな大先生でも神格化してしまったら、そこからの発展ができなくなってしまう。2012/10/22

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