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内容説明
空間とは何か、時間とは何か。この最大級の謎の解明には物理学と哲学が取り組んできた。絶対空間と絶対時間を主張したニュートンと、それに対抗して「時空の関係説」を唱えたライプニッツから出発して、最新の宇宙論にいたる物理学の成果を哲学者の目から見ればどうなるか。宇宙の始まりに迫る量子宇宙論へといざない、物理学に隠されていた時空の哲学の潮流を解きほぐす。直観的な理解を助ける図表を多数収載。
目次
第1章 空間とは?時間とは?(プロローグ 時空の難問、奇問、愚問? ほか)
第2章 ライプニッツとニュートンは何を争ったか(論争の文脈 科学の二つのヴィジョン ほか)
第3章 ニュートンのバケツから相対性理論まで(ニュートンからマッハまで 二つの相対性理論で論争を裁く)
第4章 マッハ流力学の行方(関係説力学―第一の路線 関係説力学―第二の路線 ほか)
第5章 宇宙と量子(静的宇宙から動的宇宙へ ビッグバンと素粒子 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
inami
17
◉読書 ★3.5 プロローグに、「この本では、空間とは何か、時間とは何かという問題を考えたい。これらの問いは、昔から最大級の謎と見なされてきた」とあり、日頃の自分の疑問にドンピシャだったので読んでみた。著者は長く哲学の研究をしていたこともあり、「物理学+(哲学的味付け)」的内容となっている。ライプニッとニュートンを弁護したクラークとの論争(往復書簡)で、著者のライプニッツへの肩入れはすごい(笑)。相対性理論、ビッグバンと素粒子、インフレーションと宇宙の創成など、自分の好きな分野だが残念ながら力不足だわ〜2021/01/18
猫丸
16
時空の哲学じゃなくて先端物理学にかんする省察でありますから要注意。時間は距離から再定義可能である。物理的基本量を運動量に置くと時間は不要であるかもしれない。多くの哲学的時間論は単なる心理学に取り込まれるのが不満だ。ではあるものの、相対的関係を基本とするライプニッツ・マッハの哲学は我々を不安にさせる。なんらかの絶対的(ニュートン的)「秤」の不在は落ち着かない気分だ。視点の取り方によって宇宙が多義的であるにしても数学的には等価であってほしい。2020/12/21
kochi
16
微積分学の優先権を争ったニュートンとライプニッツの絶対空間/時間についての論争から始まり、アインシュタインに影響を与えたマッハを経て、相対論、素粒子論や現代の宇宙論にまで手を伸ばして時空間の哲学を考える。現代の相対論、量子論をふまえてライプニッツを援護する著者だが、ライプニッツの根拠が神様だったりするので、読んでいる間中ずっと、「そんなバカな」を繰り返していたが、一種の挑発かも^_^ 宇宙論などに関する参考文献を読みたくなっているのは、まんまとのせられたからか… 2018/03/30
Rachel
10
この本は、ヤバイ。結局時間とは何か?全然、分からない。読み終わる頃には頭の中が大変なことになっていた。考えたって苦しいだけなのに、思考を止めることができない。カントやハイデガーの時間論を読んで満足できているうちは、まだ良い。問題なのは、時間そのものが一体何なのか?時間の謎という迷路にゴールはあるのか?真理を問うことは何故こんなにも不気味さを孕んでいるのか?神が真理に行き着くのを邪魔している?ではなぜ神は我々に知能を授けた?そもそもなぜ私はいつも神を持ち出す?どこで考えるのを放棄している?神って、何だ?2017/07/05
ひだりかわ
10
私は物理学で学位をとったはずだが、この本で扱われている物理学的な時空論の基礎に関わる部分が、自分が思っていた以上に非常に難しく感じられた。本書の中でも、特に後半の現代物理学・宇宙論に関わる部分は、まだまだ哲学的考察がこれから追いついてくる部分なのだろうけど、最新の物理学的成果のレビュー的になってしまっているように思った。一方で、哲学的議論としても、絶対時間・空間と相対時間・空間で、本質的な対立点はどこなのか、というのがいまいち自分の中でつかめていない。(コメント欄へ続く→)2012/05/08