文春文庫<br> 虚無のオペラ

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文春文庫
虚無のオペラ

  • 著者名:小池真理子
  • 価格 ¥631(本体¥574)
  • 文藝春秋(2016/05発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167542030
  • NDC分類:913.6

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内容説明

セックスを抜きにしては考えられない恋だった。あなたはずっと、私の身体でピアノを弾いてた。私には淫蕩の血が流れているのか……。舞台は冬の京都。高名な日本画家の裸婦モデルをつとめる結子は、8歳年下のピアニスト島津正臣との恋を断ち切るため、ふたりきりで、雪に閉ざされた小さな宿に籠もる。この後は二度と会うことはない。別れのためだけにある4日間の逢瀬に、女と男の恋情と性愛の極みを艶やかに奏であげる、かくも美しき恋愛小説!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

じいじ

104
小池真理子の味が存分に味わえる大人の恋愛小説だ。主人公は10数年日本画家の専属モデルをする結子46歳。4年続いた妻子ある38歳のピアニストとの不倫の恋の話。4年の恋に封印する旅に出るところから、物語の幕が上がる。舞台は、雪降る厳寒の京都山奥の隠れ宿。幾度と出てくる性愛描写だが、小池さんの筆力は凄い、まったく嫌らしさを感じさせない。時に官能的、時に音楽に比喩して詩的に美しく奏でられる。結子の複雑に揺れ動く心情も実によく描かれていると思う。小池真理子の恋愛小説は、奥が深く読み応えがあって後を引く。2015/07/08

Take@磨穿鉄靴

63
4日は長いなあ。別れを切り出してから別れを前提とした二人での旅行。目の前にある別れを前に人は4日も過ごせるものなのかな。多くの人がそうであるように自分も別れを宣言してから最後の旅行と称して旅に出た事はない。結子に振り回される男達をひたすら結子目線で追う内容。なんだかカラーも内容は違うけどレミオロメンのビールとプリンを思い出した。別れは切ないしエネルギーがいる。中年になった強みはそんなヒリヒリした別れが無いこと。もし別れるにしても一泊でいいかな(^_^)★★★☆☆2018/12/23

yomineko@猫と共に生きる

52
妻子あるピアニスト、島津正臣38歳と不倫関係に陥る結子46歳。結子は画家のヌードモデルを仕事としているがその仕事に対して正臣が嫉妬するも、正臣の美しき盲目の妻、織江に第二子が出来た事に結子は驚き、嫉妬する。正臣との関係を断ち切るため結子の提案で京都への4日間の旅をする。まるで川端康成の雪国を彷彿とさせる作品。小池真理子さんは確かこれが初本。描写がとても情緒的で素晴らしかったが初めからダメだと分かっている人を好きになる結子の気持ちが理解できないし、正臣も我儘だと思った。美しい妻がいるのに何故?理解できない。2020/02/15

ううちゃん

35
有名な日本画家の裸婦モデルをつとめる46歳の結子が、妻子ある年下のピアニスト正臣と別れるための4日間の旅行。合間に差し込まれるこれまでのエピソードもすべて結子からの視点で描かれ、彼女の心の移り変わりが心に染みていく。正臣がなんとも魅力的で若さが眩しく、画家の老いが物哀しさを醸し出すが、私も結子と同じく、画家のほうにより共通項を見出すと思う。若かりし頃のデッサン授業で裸婦モデルを描いたことを思い出した。ラストの情景が思った以上に爽やかだった。2019/12/14

June

31
別れるために籠る雪の宿の4日間。途中回想が織り交ぜられていく。想い出がチラつくように。気持ちが覚めてしまった訳ではない。ピアニストの彼の指、その指が愛しい、それだけを持ち帰りたい、そんな心情が理解できる。裏表紙から想像するようなイヤらしさは感じない。絵のモデルが職業という非日常性が物語を音楽のように感じさせるのか。恋人の全盲の妻が自立して生活する姿に、生きていく意味を感じる結子が好きだ。物事はひとつところに留まっていない。常に流れていく。もう目の前にいても遠い。ラスト、苦しさが伝わる。最後のシーンが印象的2015/07/22

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