新潮文庫<br> 文明の憂鬱

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新潮文庫
文明の憂鬱

  • 著者名:平野啓一郎
  • 価格 ¥594(本体¥540)
  • 新潮社(2014/10発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101290379

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内容説明

AIBO、皇太子妃ご懐妊報道、略字体、口蹄疫、ピッキング、大リーグ、臓器移植、世界同時多発テロ、加工食品……。私たちを取り囲んでいるモノ、技術、現象、事件、情報……そうした文明のちっぽけなしっぽの一端から、巨大な憂鬱が見えてくる。明晰な論理と非凡な視点、そして鋭い感覚で日常に潜む微細な欺瞞をも見抜いてゆく。単行本未収録の24編を加えた全49編の文明批評エッセイ。※文庫版に掲載の写真は、電子版には収録しておりません。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

168
平野啓一郎氏が弱冠25歳にして、“VOICE”の連載を引き受けて挑んだ初エッセイ2年分をまとめたもの。プレイステーション2の新発売など、時代が10数年ズレはするが、エッセイそのものの骨格がしっかりしているので、その程度のことにはものともしない。ただ、同じ芥川賞作家の川上弘美さんや小川洋子さんのエッセイには、一読してすぐそれとわかる強い個性が感じられるのだが、残念ながら未だそうした個性を獲得するには至ってはいない。万事に理性的、観念的に過ぎるのだ。小説では、あれほどまでに情念的な文体を駆使するのにである。2014/10/08

ヨーイチ

31
純文学は基本スルーの小生が珍しく手に取った純文学作家。「若いのに三島由紀夫ばりの文章」との評判を聞き、「日輪」目当てで文藝春秋を購ったのだと思う。ツイッターで割とまともな呟きをするので、作者への興味から購入。十数年前のエッセイだから古い事は古いのだが、問題提起は今でも有効な物が多い。此れは作者の観察、批評が本質とか原理を押さえているからであろう。執筆が二十代にも関わらず老成のような趣きが。但し嫌味ではない。2015/09/08

はまだ

26
建物の興奮が、天井にあることはご存知だと思う。あれは雨を防ぐものであるだけでなく、中心だ。お札で言えば諭吉だ。急に金じゃないか。平野さんの文章は、(新書をのぞけば、ですかね)この短いエッセイの連なりすら、豪華。いや、2000年代前半の文章なので古い感じはある。ただし、「若さとは恐らく、意識されながら享受されてはならなきものである」とかね。何歳だよこのとき。まだ30歳かそこらじゃないか。おれその頃ヘラヘラしてた!天井って関係なくない!?★4 2019/10/09

Mishima

21
お初の「平野啓一郎」。「文明の憂鬱」「続文明の憂鬱」とに分かれ、前者は雑誌上に2000年1月から2年間にわたり連載されたもの。編集部から送られてくる写真から気になったものを筆者が直感的に選び思うがままのことを書くというスタイルだったらしい。精緻な文章で対象物を俯瞰してみている姿勢が感じられた。当初「時事問題について一体何をかくべきか」「本来ジャーナリストの仕事では」という疑問やとまどいがあったらしい。印象としては作家が書いたエッセイというより新聞記事を読んでいるようであった。次はぜひ小説を読んでみたい。2015/05/04

ヨクト

21
作家・平野啓一郎さんのエッセイ。十年以上前の時事ネタとかもあるので少々色褪せてしまった感もあるが、当時にしかも二十代半ばでこれほどまでの考察ができ、造形深いとは恐れ入った。神学・芸術・政治・医学・食品問題等、多岐にわたる興味と深く考える力が平野さんの作品に如実に表れているのだろうか。2014/04/06

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