内容説明
穂高岳の難所に挑んだ小坂は、ナイロンザイルが切れて墜死する。彼と同行した魚津は、自殺説や醜聞にもめげず、友の死の真相究明に全力を注ぐ。そして小坂の恋人だった美貌の人妻美那子への思慕を胸に、困難な単独行を敢行する……。雄大な自然と都会とを対応させ、完璧な構成のもと、恋愛と男の友情を劇的に描く。NHK土曜ドラマ『氷壁』原案。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ねね
8
ザイルを使う程ではないが 私も登山をやる。半分以上ナイロンザイルはどうして切れたのかが続くのが もどかしくなってしまった。山を愛する男同士の友情をもっと期待したが 二人とも美那子に惹かれる?!そして美那子も! 山をやらない美那子にそんなに惹かれるなんて どこにそんな魅力があるんだ?となんだかイラッとしてしまった。 これは私の同性だから?山男をそんなに魅了してしまうことへの嫉妬なのか? そこばかりが気になる私がおかしいのかな。2025/08/12
ふらら
5
徳沢園(書中に出てくる徳沢小屋)に宿泊予定なので、その前に読了。自身も山に登るので面白かったです。今も昔も穂高は山屋憧れの地です。小坂と魚津のように雪山、まして壁は無理ですが、今年の夏は涸沢経由で奥穂高に行ってみようと思いました。ザイルは切れたか切られたか?常盤の言うように山を愛する者が山を裏切るようなことをするわけがない、私も同感です。小坂や魚津が山での景色を見せたいと思わせた美那子はやはり魔性の女です。2017/04/28
Kureno Hirono
4
恋愛や社会問題を絡めた読み応え充分な山岳小説と言える。新聞小説の典型みたいなものかもしれない。文庫にして600ページ強。だれることなく、緻密に仕上がっている力作だ。2025/01/08
ゆきたろう
3
一気読みしてしまった 魚津恭太には死なずにかおると幸せになってもらいたかった 山男はやっぱり山で死ぬのかなぁ 常盤大作が 懐の深い上司で素敵だった2015/08/16
みるちゃん」
3
古風な文体ですこし当世風な小説が氾濫しているなかで、やはり名作は名作なりの風格が感じられますね。小坂と魚津の登攀場面や魚津一人での山行きの場面なんかは最高ですね。以前からこの小説のことは知っていましたが、なんとなく読む機会がなくて今回読んでよかったと思いました。2012/08/21




