内容説明
ネス湖畔の寒村ティモシーで、突如として発生した凄惨な連続バラバラ殺人。空にオーロラが踊り、魔神の咆哮が大地を揺るがすなか、ひきちぎられた人体の一部が、ひとつ、またひとつと発見される。犯人は旧約聖書に描かれた殺戮の魔神なのか? 名探偵・御手洗潔の推理がもたらす衝撃と感動……。ロマン溢れる本格ミステリー巨篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
勇波
70
まず読み終わって思ったのは「なんじゃこりゃ?!」でした。面白くなかった訳じゃあないんだけど…。アイデアとしては御手洗物らしく奇天烈で壮大ではあったんだけど、何かが足りん。動機?だと思う。トリックのスケールと動機のバランスが全く取れてない。。もったいない。何度も言いますが決して面白くない訳じゃありませぬ★2016/02/27
中原れい
67
やっと読了。1章終わるまで少し退屈だったが、手記中のヤーハウェの描写に諸星大二郎描く斉天大聖を想起してしまったあたりから自分のノリが戻りハラハラと読めた。うーん、今回も犯人当ては無理だな…と描写を楽しみながら。最終50ページくらいで一大クライシスでオチが来るところは加門七海も思いだす…wミタライの決め台詞、当たり前だけどなかなか言える物でなく、かっこよすぎますね。ユダヤ迫害の悲しみと、スコットランドの田舎でも人を離さない差別の感覚、認められたい才能の世界の苦しみ、などが爆発しつつ発展した島田節でした。 2019/10/28
Tetchy
46
今回の御手洗物は読書の牽引力が小さく、なかなか読み進めなかった。これは語り役が石岡からバーニーという酔いどれアマチュア作家に代わって、文体も変わったのが大きかった。あとやっぱミタライが大人しかった。しょうがないけど。このシリーズは事件の奇抜さや驚天動地のトリックよりも御手洗の強烈な個性が作品の魅力の大半を担っているのだなぁと再認識させられた。しかし今の本格作家でこのようにシリーズ探偵が海外で活躍し、しかも登場人物が主人公以外全て外国人なんてミステリを書くのは島田しかいないだろう。2009/10/17
Small World
39
読み残している御手洗潔シリーズを読了です。大がかりなトリックの力技はありませんが、記憶にまつわる、らしい展開の一冊でした。なんとなく違和感は感じてたのですが、そうか、やっぱりそうなんだ!って感じの読後でした。最後の部屋に隠されていたもの、その手記の意味がわかると、「Yの悲劇」の構図を逆にしているような意図がうかがえて面白かったです。たしかに巨人はそこに存在していたのですよね。あと、5・6作読み残しているのですが、次は、最新作あたりにいってみます。2018/09/29
おうつき
38
ネス湖の湖畔にある村を舞台にして、おきる連続バラバラ殺人事件。体をひきちぎられた死体と、空に響く咆哮。こんな荒唐無稽に見える話を一本の線で結んでしまう島田御大の手腕を改めて思い知らされる。魔神の咆哮のトリックには多少のガッカリ感はあったが、それ以前の御手洗シリーズの型から少し外したような仕掛けもあったりして、解決部分では感動すら覚えた。2021/04/12