- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
今からおよそ五〇〇万年前、アフリカに誕生したといわれる人類は、大陸を飛び出しユーラシアを横断、ベーリング海峡を渡って極北の地を越え、北米大陸、南米大陸を縦断して南米最南端に到達した。この人類拡散の壮大な旅路を、探検家は自らの脚力と腕力だけで遡行した。本書では、苛酷な自然との折り合い、調和しながら、豊かな生活文化や宗教を産み出してきた人びとの姿を活写しながら、足掛け一〇年の旅のクライマックス、タンザニア・ラエトリにゴールするまでの過程を、カラー写真一三〇点とともに辿る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
127
人類の足跡を遡る旅の後編はシベリアから。狩猟民の間では分配が行われる。我々の社会はいつの間にか争っている。大切な人間性の一つを失っている。トナカイを頂く。目を見ないでほしいんだ。…シャーマンがいた。現代でいう心理療法士、皆から必要とされている。…チベットの五体投地。これ以上の祈りの姿はない。…そろそろ森が恋しくなってきた。ヒマラヤ越え。山の南北では人も宗教も違うが自然への信仰心は強い。…イラン人はとてもいい人たちだ。私の先入観を恥じた。…そして最後の地、アフリカへ。足掛け10年、人類の起源で人間を考える。2021/05/02
マリリン
47
満たされるとは、幸せとは、人々の自然な笑顔に触れると改めて考えさせられる。生も死も隔たりがない、人間も動物も。土地を歩き人々と交流する事は、人間の生い立ちを知ることでもある。印象に残ったのはシベリアの人達の生きる姿勢、子供の独立心、無欲。ネパール・ヒマラヤの項の、一妻多夫は中東の項の結婚事情の一夫多妻と同様理にかなったもの。子どもたちは10才に満たなくてもよく働く。自然を相手に遊ぶ事が様々な知識の吸収の源になるのではと思う。アフリカイスラム教徒の断食から、身体と共に精神も浄化されることで得る真意を知った。2022/12/28
秋 眉雄
31
文中に出てくる人たちの、特に子どもたちのそれぞれ名前をきちんと書くのがすごくイイと思いました。そういうところに単に通りすがらず、ちゃんと関わり合いながら移動する姿勢を感じるというか。急ぐことなく10年かけて歩くということ。人類の移動だって何十世代、何百世代かけての移動だったんだろうから、まったく正しいやり方だと思いました。世界を連なりとして見ていかなければ出てこない感覚。それを想像させてくれる有り難さ。新書サイズにもかかわらず写真もすごく良いと思いました。2022/01/15
taku
20
グレートジャーニーを逆から辿るグレートな旅。風景や人々の営みを肌で捉えた写真をじっと見つめ、文章とあわせて想像してみる。できるならその場所で、目に映る風景や空気の匂いを声に出してみたい。とりわけ印象に残るのは笑顔の写真。笑顔には強い力がある。遠い遠い昔、人類が拡散していく軌跡を描いた先祖たちも、苦難を乗り越え笑い合えていたかな。グレイト!2018/10/17
もえたく
9
インカをはぐくんだアンデス文明とメキシコのメソアメリカ文明の交流が少なかったことを、自転車とカヌーなど自分の腕力と脚力だけでアンデス山脈のアップダウンを乗り越えた著者が実感するシーンは、行動した人だけにしか言えない感想だと思う。シベリアのトナカイ料理からチベットのヤク料理までおいしそうに描かれ、また、子ども達の笑顔が素晴らしかった。2014/08/31