新潮新書<br> 明治大正 翻訳ワンダーランド

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新潮新書
明治大正 翻訳ワンダーランド

  • 著者名:鴻巣友季子【著】
  • 価格 ¥660(本体¥600)
  • 特価 ¥462(本体¥420)
  • 新潮社(2012/02発売)
  • ポイント 4pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784106101380

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内容説明

驚愕! 感嘆! 唖然! 恐るべし、明治大正の翻訳界。『小公子』『鉄仮面』『復活』『フランダースの犬』『人形の家』『美貌の友』『オペラの怪人』……いまも読み継がれる名作はいかにして日本語となったのか。森田思軒の苦心から黒岩涙香の荒業まで、内田魯庵の熱意から若松賤子の身体感覚まで、島村抱月の見識から佐々木邦のいたずらまで、現代の人気翻訳家が秘密のワンダーランドに特別ご招待。

目次

近代の翻訳はこの「一字入魂」から出発する―ユゴー『探偵ユーベル』森田思軒訳(明治22年)
訳文が生きるか死ぬかは会話文―バアネット『小公子』若松賎子訳(明治23?25年)
超訳どころの騒ぎではない―ボアゴベイ『正史実歴鉄仮面』黒岩涙香訳述(明治25?26年)
鴎外の陰に隠れはしたが―レルモントフ「浴泉記」小金井喜美子訳(明治25?27年)
すべては憧憬にはじまる―ゾラ『女優ナヽ』永井荷風編訳(明治36年)
辛抱して読んでくれ!―トルストイ『復活』内田貢(魯庵)訳(明治38年)
遠く離れた日本で出世―ウイダ『フランダースの犬』日高柿軒訳述(明治41年)
原作はいったいどこに…?!―アンノウンマン『いたづら小僧日記』佐々木邦訳(明治42年)
肉体を翻訳する舞台―イプセン『人形の家』島村抱月訳(明治43年)
童話は初版だけが本物か―「模範家庭文庫」中島孤島他訳(大正4年)
絶好の売り時を逃すまじ―リットン『ポンペイ最後の日』中村詳一訳(大正12年)
うっかり誤訳?意図的誤訳?―グリズマー『東への道』岩堂全智・中村剛久共訳(大正12年)
発禁、伏せ字を乗り越えて―モオパッサン『美貌の友』広津和郎訳(大正13年)
ノベライゼーションの草分け―ルルー原作、カーニー改作『オペラの怪人』石川俊彦訳(大正14年)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yumiko

66
「緋色の記憶」の翻訳が素晴らしかった著者。以降本職ではないエッセイを追いかけること三冊目。今作は、日本の翻訳文学の勃興期、明治大正時代の作品を通して知る名作の誕生秘話が纏められた一冊。「復活」を訳した内田魯庵の前書きにはその涙ぐましい努力に心揺さぶられ、黒岩涙香訳述の「鉄仮面」にはマジで!?と驚愕。翻訳家である著者自身が感心したり呆れたり素直な気持ちを言葉にしてくれていることで、より作品たちが身近に感じられる。先人達の苦難の歴史を知ったことで、現代翻訳文学の層の厚さが改めて有難い。もっと読まなくちゃね!2017/02/05

oldman獺祭魚翁

38
最近翻訳者さん達とお話しする機会があり、こんな本を読んでみました。文明開化と共に入ってきた海外文学 これを翻訳した翻訳者達の、苦闘と苦労を描いています。日本じゃ超有名な「フランダースの犬」やら当に「翻訳事始め」です。「乱訳・豪傑訳」から脱却しはじめた明治20年代から書かれている翻訳事情は当にワンダーランド。翻訳書が好きな方は一読されてはいかがでしょう?2018/06/13

Nobu A

20
鴻巣友季子著書5冊目。近代化革命が起きた明治維新の屋台骨を支えていたのは翻訳と言っても過言ではない。西洋文明と文化は翻訳を通して流布され浸透したのだから。古くは通詞から始まる先人達の熱量や苦悩を筆者のいつもの軽妙な筆致で紐解く。出だしは面白いなと思い、読み進めたが、集中力が徐々に途切れていった。どうしてだろう。細部に拘り過ぎていたようのに感じる。例えば、海外では翻訳者名が出版物に出ないことが多い。このような国際比較があり、翻訳業界の全体像が俯瞰出来ると読み易かったかも。残念ながら後半流し読み読了。2023/03/11

あいくん

13
☆☆☆明治大正の翻訳でいまも読み継がれる「小公子」「鉄仮面」「復活」「フランダースの犬」「人形の家」「オペラの怪人」など触れています。鴻巣友季子さんはまさに全身翻訳家です。明治の翻訳家たちの訳文を読むと、本を飛び出して迫ってくる情熱や気迫、思い入れが感じられるといいます。鴻巣さんにとって翻訳は驚きの宝庫、果てしない世界に続く不思議の窓です。即興詩人、小公子、ジュリアスシーザー、ハムレット、十五少年漂流記、レミゼラブル、罪と罰、鉄仮面、モンテクリスト伯、フランダースの犬はこの頃から翻訳されていました。 2020/01/25

はるき

13
文学の歴史を紐解くと思わぬ発見がある。翻訳家というと私の中ではやっぱり「赤毛のアン」の村岡花子さん。でも、彼女の前に長い長い歴史があるわけだ。好きな作品を自分の言葉で肉付けできる。翻訳家が女性に人気な職業というのも何か分かるな。2015/07/02

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