角川文庫<br> 斜陽

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角川文庫
斜陽

  • 著者名:太宰治【区分表記なし】
  • 価格 ¥352(本体¥320)
  • KADOKAWA(2014/12発売)
  • ポイント 3pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784041099063

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内容説明

「私生児と、その母、けれども……古い道徳とどこまでも争い、太陽のように生き」ていく一人の女。結核で死んでいく「日本で最後の貴婦人」のその母。自分の体に流れる貴族の血に反抗しながらも、戦い敗れて、宿命的な死を選ぶ弟。生家の没落をきっかけに日本版「桜の園」を描こうとした作者が、昭和22年、死の一年前に発表した作品。この作品で、作者の名は決定的なものとなった。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

こーた

172
「太宰治昇天」。石川淳が、太宰の死に接して、想うところを書いている。主に友人との思い出話なのだが、そのなかで(太宰の)小説とは何か、ということにも触れていて、おもしろい。太宰は「小説を書くのかいやになっ」て自ら水に入ることを選んだが、そもそも小説とは作家がいやいや書くものである、とか、太宰が小説でやっていたのは「必死」の「道化」である、とか。なるほど、ぼくが太宰の作品に惹かれる理由が、なんとなくわかった気がする。この『斜陽』なんてまさに「必死」の「道化」の集大成だよなあ、と妙に腑に落ちた。2018/08/22

浅見ヨシヒロ

10
太宰治ほどの作家であれば簡単なのかもしれないが、女性の心情をここまでこと細かに書いてあるのは素直にすごいと感じた。直治の弱さや上原ら男性陣の描写も流石であるが、やはりかず子のそれを比べてしまうとやはり霞んでしまう。2016/09/06

nana

9
明るい絶望。そんな印象を受けた。太宰らしいところは残しつつ読みやすかったので、この本なら人にもオススメできそう。語り口が少し「女生徒」に似ているように感じた。2016/06/30

コロチャイ

7
何十年前から読もうと思っていた本だった。ストーリーと描写が、死という命題に向かっていくような感じがした。しかし彼女の徹頭徹尾、ナルシシズムの果てが、最終章でどんでん返しがあったと思った。2021/07/05

あなた

7
母を喰い殺そうとわきあがる蛇=無意識、他者の言葉と遭遇することでずらされゆくアイデンティティ、「いい子」でいながらも手にいれることのかなわなかった愛。和子はそれらを語ることによって新しい革命を起こそうとした。語りは、自分自身の変容に接続する。人間失格もそうだが、太宰テクストはただ単に「他者の言葉におびえる」といったことが本丸なのではなくて、「他者化していく自分自身の言葉の驚怖」が焦点となっている。そしてその点において、自分の暗さをただ単に述懐する有象無象の小説とは一線を画している。2009/07/14

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