内容説明
いわくつきの家、虫の知らせ、夢と現実の一致――怪異は、日常のすぐそばにある。「孤島の宿」「祀られた車」「ほんとうの娘」「人形のある店」「戸棚のなか」など、選りすぐった実話ならではの恐怖が、読み進めるほどに背筋を凍らせる。ホラー小説の鬼才が、自身の周辺に取材した怪異を綴る、戦慄の怪談随筆集。深夜に、たったひとりでご堪能あれ。
目次
1 忘れられた記憶
2 怪の棲む場所
3 怪を見るひと
4 学生時代
5 怖い宿
6 再会
7 夢
8 いにしえの怪
9 タクシー
10 酒場にて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hope
27
★★★ 初福澤さん。実話系怪談集。編集担当が三津田信三氏。ふむふむ。淡々と記述される、『そういえばこんな話を聞いた』的な表現が、いかにも怪談らしい味がある。荒唐無稽な話の方が、実話としてのリアリティがある。それは創作臭がうすくなるから・・・なるほど。ひとつひとつは、さっと流していけるような内容なのだが、読み続けていると、何か薄気味悪いものに囲まれているような感覚に嵌まり込む。2018/08/12
備忘録
16
新耳袋に倣う様なスタイルの実話怪談集 大袈裟に怖いというよりは、結構ベタだったり、逆によくわからないような怪異だったりが多いのが実話らしい気がする2025/05/12
1039kuri
9
久々に再読。あ、そういえば、と言って思い出す人々の怪談。いわば禁忌だから、本能的に忘れるようになってるんじゃないか、という筆者の言葉にゾーっとなった。だって、そういえばこんなことがあったって、怖い話的には、ほんとに良くある枕詞なんだもの。そんなことを思いつつ、理不尽なまでにサービスの悪い旅館の話がとっても怖かった。2013/06/29
Spok
7
あまり怖くはなかったが夢の話も面白かった。担当編集者が三津田氏だったのも驚きだった。2017/12/18
madhatter
3
再読。確かに私は因果関係のはっきりしない、説明の付かない怪談が好きだ。しかし、本書を読んで、それも程度問題だと思った。収録作は超自然的怪談と断じてしまうには、あまりにも情報が曖昧すぎるものが多い。勿論「怖い」という感情は人それぞれであるから、体験者にとっては洒落にならない思いであったのだろう。ただ、怪談本としてそれらを世に問うなら、多数の人にその怖さが伝わらなくては意味がないのではないか。原話を変える訳にはいかないのだから、それはとても難しいことではあろうが。2010/07/22