内容説明
今日までこの自分を支え、生かしてくれたものは何か。明日をも知れない時代に、信じうるものははたしてあるのか。次から次へと際限なく襲ってくる日常のトラブル、身体の不調、老化のきざし、自己嫌悪とやり場のない怒り、脱力感と諦め――。それでも私たちは、生きている。生かされている。〈他力〉の風に吹かれて……。「人生に希望というものは本当にあるのだろうか」。法然、親鸞の思想から著者がたどりついた、乱世を生きる「一〇〇のヒント」!
目次
「他力」、という不思議な感覚
「できないものはできない」と思う
「非常時」を生きぬく強い思想
「本願他力」こそ生命力の真の核心
私を支えてくれた三人の言葉
法然はなぜ確信をもって人々に語ったのか
目に見えない大きな力を実感する
向こうからやってくるもの
人事をつくすは、これ天命なり
「他力」の道もまた難きかな〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
西
21
自分の力だけで何とかしなければ、と思い詰めるよりも、自分をしっかりと見つめて、人の助けが必要な時は頭を下げて助けを求めることが必要。変なプライドなんか持たずに、自分を過信せず、また卑下せず。目の前のことを精一杯やったら、あとは流れに身を任せることも大事だな。肩肘張らずに、自然体でありたいと思う2018/10/21
ホシ
7
再読。五木さんの『親鸞』を読み終えたので、手にしてみた。五木さんが何故、浄土教に惹かれるのか、本書を読むと分かるような気がする。法然・親鸞が生きた時代は真に民が疲弊しきっていた時。五木さんも壮絶な経験の持ち主で、中世の人々と自分の姿が重なってしまうのだろう。本書は湿っぽいので、読者によっては嫌悪感を抱くかもしれない。しかし、その「湿っぽさ」が今、必要なのだと力説する。10年以上も前の本だが少しも色褪せておらず、訴えかけるものが多い。それは私たちが10年前と少しも変わっていないという事だろうか?2016/08/10
sibafu
4
おもしろいが、言っていることは信用できない。主張に続く例証がめちゃくちゃで突飛なのだが、なぜか納得できることもあるので口が上手い人なのだと思う。だから五木寛之という人はカリスマであり詐欺師でもあり、大衆にとって薬にも毒にもなるように思える。大衆からすれば麻原彰晃や池田大作と同じ枠内に見え、それはバットマンとジョーカーが同じ「超人」であり、違いは正義か悪かだけ。しかもその善悪は紙一重なのだから、原発や核爆弾と同じく社会に存在するリスクもある。五木さんは宗教寄りの人なので親近性には自覚的でもあるのだろう。2014/11/11
さわたり
2
現代を生き抜くうえで必要な思想だと思う。2011/01/13
伊丹せいや
1
落ち込んだ時に読むのが良いかもしれない。今の俺には暗すぎた。人事を尽くして天命を待つ、という意味ならその人事は自力の事だろう。だけど最終的に何故自分が存在するのかとか、今日まで生きてこれたのか、とか根源を辿ればこれはもう他力としか言いようがないのは確か。経済のアクセルに対し、宗教はブレーキの役割を果たすという説明はしっくり来た。宗教というより宗教心か2019/02/02