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内容説明
天下を統治できるのは天命を受けた唯一人の天子のみ。中国文明の“歴史の父”司馬遷が創造した「正統」の観念は、中国人がこだわる歴史認識を決定づけた。変化があっても認めない、記録しない。正史は永久不変の理想の姿を描くもの。ところが現実には三国時代、南北朝時代と王朝が並立、しまいには北方の遊牧帝国に侵入される始末。その屈辱を晴らすため、新興民族を夷狄と蔑む負け惜しみ、それこそが「中華思想」だ。では中国はつねに純然たる「漢人」のものだったのか? 歪められた歴史の滑稽、ここに見たり!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kei
14
中国の始まりを夏の時代から要点を下に説明している。中国の歴史書が書かれた時代からの考察なので、どの王朝が自らをどのように正当化しているのかを見ていると、現代中国の姿勢や思想も頷ける部分が多い。単純に負け惜しみと事実を見ていないだけだが。最初は簡単で分かりやすかったが、途中から~を~に任じて、という文が多くなり、それが何なのか分からない役職ばかりだったので理解に苦しんだ。また、中国を理解するにはその地名や民族を理解していることも非常に重要だと感じたので、その点も勉強していこうと思う。2016/07/07
バルジ
2
何とも「嫌中論」じみた書題であるが、その内実は史記から始まる中国歴代王朝の「正史」をその意義を認めながらも学術的な観点から滅多切りにする。司馬遷の作り上げた「正史」の枠組みはその後の歴代王朝における史書編纂の基本形を成したが、却ってその基本に当て嵌まらない事例が全く無視されたことから、殊に「正統」の埒外におかれた事象は記録されない。著者が正史を「知りたいことが記されていない」と嘆息する所以である。しかし大清帝国の時代、これまでの史書の枠組みに当て嵌まらない書が現出する。著者の高揚がありありと伝わってくる。2025/02/14
結城あすか
1
中国の各王朝で作られて来た正史が、実は歴史的正統性を主張するためだけに、実際の国家や歴史の形とは無関係にあくまで『史記』の描く漢朝の世界を理想とし、それに準えて書き続けられてきたとかいう話にょ。このように中国の正史がどのように作られて来たかということを俯瞰するには面白い本なのだけど、あまりにも見方が独創過ぎるは確かにょ。ところで、班固が最初の断代史『漢書』を編んだのは、自分が理想とする王莽の事績を記録し、その正統性を示すために前漢一代の歴史が必要だったからだというのは興味深かったにょ。2011/08/28
miharasi_mamiya
0
中国の歴史書の話。歴史書の成立過程、どういう目的で書かれたのかなどの専門的な内容だった。中国の歴代王朝はだいたい漢民族の国家というイメージだったのが覆された。2015/09/14
うえ
0
「『史記』は中国のいわゆる「正史」の最初のものでありその体裁と内容が後世の中国人の歴史意識と中国人意識を決定した」「夷狄は文化をもたない人間以下の存在で中華だけがほんとうの人間だという負け惜しみの中華思想が出てきた。この中華思想は現在でも中国に厳然と存在して,中国人が世界の現状を直視する最大の妨げになっている」「どの政権がどの政権を継承したかという「正統」の観念は中国人の歴史観の中心を成す特異な観念であるが,これは中国世界の最初の歴史である『史記』にすでに完成したかたちで表れている」2014/08/15
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