内容説明
江戸指物師(えどさしものし)・橋上清次は、嫁ぐ娘のために姫鏡台(ひめきょうだい)を造っていた。ほぼ完成しているそれが仕上げられることはない。娘は手の届かないところへ行ってしまったのだから……。思い出に浸(ひた)る日々を送る彼の心の糧(かて)は、泪坂の住人たちとの交流だった。失意にくれながらも、清次はある決意を心に秘めていた――。父と娘の深い絆が胸を打つ、優しく切ない「奇蹟の物語」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
樹999
4
『曖昧な領域』にしか存在しえない下町情緒が懐かしくも哀しい。いつもの軽いひっかけもありつつさらりと読めた。読後感は読書をした、というより一枚の絵をじっくりと眺めた感じ。2012/11/03
市之丞
3
とても素晴らしい作品でした。不満があるとすれば1つだけ『本書は通勤時には読まないで下さい』と表示して欲しかった。実は我が家にも、週に一度は5年前に逝った娘(ねこ)の足音が廊下に響くんです。扉を開けても誰もいないけど「あぁ、帰って来てるな」と。2015/05/13
鈴と空
3
「優しい」も「切ない」も納得なんだけど、それよりも「綺麗」の印象の方が強かった。2008/07/05
shibatay
3
これは泣かせる2005/10/11
5〇5
2
蝶よ花よと 育てた娘 今日は晴れての 泪坂2021/05/21