錦繍

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錦繍

  • 著者名:宮本輝【著】
  • 価格 ¥572(本体¥520)
  • 新潮社(2013/10発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101307022

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内容説明

「前略 蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした」運命的な事件ゆえ愛しながらも離婚した二人が、紅葉に染まる蔵王で十年の歳月を隔て再会した。そして、女は男に宛てて一通の手紙を書き綴る――。往復書簡が、それぞれの孤独を生きてきた男女の過去を埋め織りなす、愛と再生のロマン。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

zero1

455
事件をきっかけに別れた夫婦が再会し、往復書簡で語り合う。メールが当たり前の時代だから、この作品の意味がある。 別々の人生を歩む二人に不幸が襲いかかる。それでもどこかに救いがあり、読者のカタルシスにつながる。私が【救い】として最も気に入ったのが令子。地味だが彼女こそ女神。どんなことがあろうと人生は不幸だけで終わらない。また人の善なる部分を信じている作者は強い。宮本は、芥川賞の選考委員として作品の長さに拘りを見せている。私は「螢川」が一番好きだが、短くても過不足ない表現というのは今の作家も見習ってほしい。2018/10/17

遥かなる想い

424
最初読んだ時は、その好さがよくわからなかった。少し歳をとって読み返して、その壮絶な恋愛に感動した。手紙が織り成す想いはとても 重い。2010/05/01

bunmei

289
『錦繍』とは、美しい織物、文章の意味。文字通り本作品は美しい言葉で綴られ、お互いを気遣う書簡のやりとりで、物語は展開します。現代のメールやLINEでは決して味わえない日本語の美しさや日本人の奥ゆかさも感じられる作品。ある事件を機に離婚し、10年振りに再会した元夫婦。2人ともそれぞれの人生を歩み始めた中、あの時何故もっと引き留められなかったのかという自責の念と共に再び燃え上がる情念。切々と語られる互いを思いやる気持ちと口にはできない愛おしさが伝わる大人の恋愛小説です。モーツァルトの調べと共にお読みください。2017/08/03

こーた

271
小説は書いても誰にも読まれないかもしれないが、手紙にはかならず読み手がいる。ほかの誰にでもない、あなたへ宛てて書かれた手紙。その手紙を読みながら、文章には描かれない読み手にまで想いを馳せる。読み手とわたしの心情が、手紙を通して重なり合う。想いはやがて書き手に転じて、ふたりのあいだを行ったり来たりする。手紙のなかで過去が語られ、それを読む現在があって、つぎの手紙という未来を待つ。その外側にある空間を、手紙の往復する時間的隔たりとともに、書かずに描く。手紙の繋ぐ世界にいつの間にやら入りこんでいる。2019/10/09

269
本当に本当にいい本だと思います。不幸な不倫からの事件、それに至るまでのこと、その後の辛い人生、そこからの再生。十数年ぶりに読んだけれど感動した。2016/03/15

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