内容説明
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戦前、各地で大衆娯楽として親しまれていた少女歌劇は、そのほとんどが敗戦前後に消滅した。わずかに残った史料を収集し、元歌劇団員を訪ねて一人一人インタビューして聞き書きし、歌劇団の誕生から解散までを発掘した貴重な大衆文化史・演芸史である。
目次
はじめに
第1章 羽田別荘少女歌劇団[広島]──「ハダカゲキ」で強烈アピール
第2章 琵琶少女歌劇[大阪]──女優、田中絹代の原点
第3章 浪華少女歌劇[大阪]──楽天地のもう一つの歌劇団
第4章 青黛座[博多]──胡蝶が描いた夢
第5章 花月園少女歌劇[横浜]──「児童本位」のパラダイス
第6章 松竹楽劇部[大阪]──宝塚と人気を二分
第7章 大浜少女歌劇[大阪]──潮湯とともに人気を集める
第8章 粟崎少女歌劇[金沢]──すべて宝塚を手本に
第9章 鶴見園女優歌劇[大分]──九州一のスケールを誇る
第10章 いく代舞踊部[北海道]──舞台は料亭の宴会場
第11章 赤玉少女歌劇団[大阪]──キャバレーに咲いた華
第12章 塩江温泉少女歌劇[香川]──ガソリンカーと運命をともに
第13章 だるま屋少女歌劇部[福井]──部員は百貨店の店員
第14章 銀の星少女歌劇団[新潟]──町おこしレビュー
第15章 そのほかの少女歌劇
全国の少女歌劇一覧表
人々は「少女歌劇」に光を求めた──あとがきにかえて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
qoop
2
ブームに乗って全国に誕生した少女歌劇団は、嚆矢である宝塚を除きほとんどが短期間で姿を消した。本書は少ない資料を拾い上げ、消えた少女歌劇団の実相を記録しようと努めたものだが、著者たちのように女性の社会進出という切り口で見るのは新しい気もした。むしろ女性を見世物にするという批判もあり得たろうし、そうした点から近代日本演芸史の中でもあまり顧みられなかったジャンルではないかと興味深かった(理解が浅いのかも知れないが)。また、趣味と興行の間で淡い夢となったそれらを追うことで、宝塚の強みを再確認することも出来た。2018/09/24
なあちゃん
1
今、99周年、隆盛を誇る宝塚歌劇団も一つ間違えれば、ほかの歌劇団と同じように、終焉を迎える可能性もあるんだなあと、改めて思う。2013/11/10
ゆめかまこと
0
ここで取り上げられた少女歌劇団と宝塚との分かれ目はどこにあったのだろうか? そこを掘り下げたら、今までとは違った観点からの宝塚の人気の秘密に迫れるかも、という思いがふつふつと湧いてきた。2014/06/06
芳野
0
日本各地に存在した少女歌劇団ーー観客及び演者達の少女達の青春の象徴の歴史が存外短く、また研究されていない事に驚いた。当時の新聞記事の内容を見てみたら興趣が沸いたので、今後是非研究が進めばと思う。2014/03/09
かいせ
0
宝塚以外にもかつて全国に存在した少女歌劇団たち。あるものは宝塚方式を完全模倣し、あるものは意識しつつ打倒を滲ませながら皆消えて行った…研究するひとは著者のふたりしかいない現在、資料も散逸し記憶からも風化しつつある少女歌劇。大正ー昭和の日本商業の発展衰退と切り離せなかった少女歌劇。その息吹を想像しつつ読むといいかもしれません。2011/10/02