中公文庫BIBLIO<br> 敗戦日記

個数:1
紙書籍版価格
¥1,309
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

中公文庫BIBLIO
敗戦日記

  • 著者名:高見順【著】
  • 価格 ¥1,309(本体¥1,190)
  • 中央公論新社(2011/12発売)
  • 中央公論新社 GW特大フェア ポイント40倍!(~5/12)
  • ポイント 440pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784122045606

ファイル: /

"Reader"および"Reader"ロゴは、ソニー株式会社の商標です。

内容説明

“最後の文士”として昭和という時代を見つめ続けた著者の戦時中の記録。昭和二十年の元日から大晦日までを収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ネムル

22
高見順はよく歩く。鎌倉に住まいながらも度々東京を訪れては知人の安否を確かめ、『如何なる星の下に』の舞台である浅草をはじめ此処彼処の荒廃してゆく様を目に焼き付ける。そして苦心して調達した酒に己を慰める。原爆投下後には敗戦を予感しながら、新聞の引用も多くなされる。戦争の哀しみにうちひしがれながらも、高見の記録を残すことへの強固な意思を感じた。資料としてもフラヌールな日記文学としても凄く面白い。また敗戦迫る四月末からは鎌倉文士の紐帯の元に貸本屋が営まれる。ささやかながらも文化の火を守らんとする行動が印象深い。2019/12/16

松本直哉

16
「原子爆弾を発明し得る自由な民衆は今後に横たわる一切の困難を征服できる」と豪語するトルーマンの傲岸な楽天主義にあふれた演説を読んだ高見順「まことに私たちには左様な『自由』が奪われていた」…原爆投下直後の生々しい感慨。圧倒的な軍事力にひれ伏して、それを可能にした自由な精神に素朴に憧れてしまう。けれども、そんな自由なんてないほうがましだったとなぜ言えなかったのか。人を殺傷する兵器を作る自由なんてないほうがいいのに。そんなに自由なアメリカがうらやましかったのか。アメリカ言いなりの戦後史の原点を見たような気がする2015/01/08

やま

15
高見順が大正八年1月1日日記をずっとつけていて、この日記もその一部だということをあとがきで知った。1945年の日記も全部ではなく抜粋したのだという。それで454ページの量。◇新聞そのものの抜粋(11月くらいに名なると切り抜きすらしなかったこと含む)、電車での切符、外食券、配給券、サツマイモの茎を食べるなど日常、鎌倉の文人との交流、貸本屋、東京で酒を飲む話、焼け野原の具体的な記載、敗戦後の人の動きなどその日に何を見て何を感じたかが記されている。◇「このことを記しておく」ことが貴重だと思うこの頃。2021/05/29

マッピー

15
鎌倉に住みながら、仕事のためにしょっちゅう東京に出てきては、戦時下の東京を記録する。灯火管制の下、配給品以外(つまり闇)の酒を飲むために店を探し、伝手を手繰る。かと思えば、芝居小屋や映画館に並ぶ人々の様子が描かれる。死ぬか生きるかの瀬戸際でも、人は楽しみを求めるのだなあということがわかる。自分たちが行ってしまったことの大きな過ちを、被害を書きながら、反省の弁はほとんどない。あまりに正直に書かれた日記であるがゆえに、読んでいて非常にイライラした。でもそれが当時の真実だったのだろう。2019/08/12

浅香山三郎

14
人が書いた日記を読むのは面白い。が、昭和20年のものとなると、同時にどうしてもしんどい、と感じる。8月半ば迄、本土決戦が行はれるのではないかといふ不安が、重たくこちらにも伝はつてくる。そして、15日を境に、国内の何処に居ても安全ではないといふ不安が去つたと思つたら、過剰な占領軍への迎合。それへの失望と怒り。 作品を自由に書けない欲求が、日記に投入されて、高見順のこの日記をそれ自体読まれるべき文学作品、かつ歴史記録にしてゐる。 大佛次郎の日記も積ん読になつてゐるので、これも読みたい。2017/08/18

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/64999
  • ご注意事項