日本とドイツ二つの戦後思想

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日本とドイツ二つの戦後思想

  • 著者名:仲正昌樹
  • 価格 ¥726(本体¥660)
  • 光文社(2014/07発売)
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  • ISBN:9784334033132
  • NDC分類:309.021

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内容説明

国際軍事裁判と占領統治に始まった戦後において、二つの敗戦国は「過去の清算」とどう向き合ってきたのか? 両国の似て非なる六十年をたどる、誰も書かなかった比較思想史。

目次

第1章 二つの「戦争責任」(「国際軍事裁判」はインチキか? 「人道に対する罪」を背負ったドイツ ほか)
第2章 「国のかたち」をめぐって(「国のかたち」は変わったか 分断された「国のかたち」 ほか)
第3章 マルクス主義という「思想と実践」(思想的武器としてのマルクス主義 日本における“何でもマルクス主義” ほか)
第4章 「ポストモダン」状況(ポストモダンの導入と批判的知性 ドイツのポストモダニズム ほか)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

47
このような新書の割には中身が結構重たい感じがしました。戦後の思想の系譜をドイツとの比較で分析しておられますが、マルクス主義についての分析が結構大きなウエィトを占めている感じがしました。もう少し民衆の考え方まで下りてくるのかと思っていたら若干アカデミックな部分が多い気がしました。ドイツは戦後総括をしていますが、日本はまだ行っていないという気がします。それは、ヒトラーがいるのでドイツはしやすかったのでしょうが、日本の場合は天皇(実態は軍部)を表に出していたので難しいのでしょうね。2015/03/06

たばかる

20
戦後思想をポストモダンまで振り返る。さまざまな人名を挙げつつ簡潔な説明で済ますところに筆者の力量を垣間見る。/同じ敗戦国でも戦後の状況は異なった。ドイツは西欧と同じような市民社会に限界を感じる一方で、ドイツのナショナルな立ち位置はナチの再来だからと憚られる。また東西冷戦の中間地であるからマルクス主義思想も慎重に対立している。対して日本は距離が離れているためある意味緊迫感はない。しかし西欧出の概念がその成立の過程など踏まえられず理解できる所だけつまみ食いして流入してきたこともあって、どこか本質がずれている。2021/03/03

ラウリスタ~

15
仲正2冊目、これも凄まじく面白い。「戦後責任」「ネーション」「マルクス主義」「ポストモダン」の四点について二カ国の思想史をレクチャー。一つ目とかが最初に読者が興味を持つところだろうが、後半になるにつれて、ドイツ思想を知る日本人から見た、日本現代思想史発達の問題点というのが浮き彫りになってきて、引き込まれる。「ノリつつしらける」とか東のデリダ的郵便とか、当時を生きていない、今の若者にとって「常識」になってしまったことの誕生の瞬間とか。全てを分かるとこだけつまみ食いする八百万の国なのが日本、切迫感のない思想2017/12/30

白義

15
日本とドイツ、敗戦を経験した両国の思想史から戦争責任と国家のあり方を巡る議論を辿り、比較している。政治的作為はあれど自ら戦争責任を主体的に捉え憲法愛国主義を始め自覚的に「戦後思想」を言語化したドイツに対し、日本は受動的であるとする構図を取りながらも安易に片方を上げ過ぎることもなく、さらに随所に右派左派双方への著者の強い皮肉が冴え渡り、戦前編以上のアクチュアリティが光る内容。ナショナリズムの話を消化して以降は日独マルクス主義とポストモダン受容の通史となるがこちらも教科書的ながら濃密、極めて充実した一冊だった2016/08/20

ころこ

8
本書のレビューを書こうと「日本とドイツ」と入力して検索してみたら、複数の著作がヒットしました。他を読んでいないので断言できませんが、恐らく本書は一番道徳的ではない著作といえるでしょう。大体予想できるのは、ドイツは反省して日本は反省していないか、ドイツも案外狡猾で日本も案外頑張っているのどちらかでしょう。どちらのルートも道徳的含意がベタベタ着きすぎていて、読んでウンザリするので読まないか、鈍感で読了するかのどちらかでしょうか。本書はそういった批判を内面化しており、日本とドイツの置かれた歴史的、思想的相違を丁2017/07/24

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