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内容説明
庄内藩酒井家の所領である酒田は、蝦夷地や京・大坂を結ぶ海運の要地。大小様々な船の出入りで賑わい、豪商たちの蔵が建ち並ぶこの町の平穏は、本書の主人公、足軽目付たちによって守られていた。彼らが書き残した厖大な記録『御用帳』から、その活躍ぶりをうかがい知ることができる。本書は、盗難や殺人、詐欺、汚職から見世物興行まで、興味深い記事を選りすぐって紹介。近世湊町の雰囲気をいきいきと今に蘇らせる。
目次
第1章 足軽目付の生活
第2章 天明飢饉と酒田湊
第3章 米の湊の難事件
第4章 庶民の娯楽と足軽目付
第5章 女の事件簿
第6章 湊町の怪しい人々
第7章 盗賊たちの群像
第8章 足軽目付の幕末維新
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ホークス
30
2005年刊。時代小説作家による庄内藩酒田の事件簿。元の記録は、酒田の足軽(50名、薄給)から選ばれた足軽目付(5〜8名)が書き継いだもの。内容は盗難、暴行、自殺、飢饉や災害、興行や行事の監督など様々。上役への抗議、容疑者の拷問もある。権限外の部分は不明で終わるのがリアル。犯人の言い逃れや噂話に振り回されるのは今と同じ。足軽目付も貧乏だから、情けをかける場面もある。立場の違う同心や目あかし、町人代表の肝煎などには気をつかう。幕末、足軽目付たちが薩長や秋田藩との戦争に駆り出されていく顛末も生々しい。2025/02/06
サケ太
17
庄内藩酒井家の領地、酒田で実際に活動していた足軽目付の活躍を描く。実際にあった事件。様々な人々が行き来した酒田で起こった事件は現在にも起こりえそうなものばかり。しかし、真実とは全く違うものが拡がるのは、噂話は本当に怖い。2018/06/18
いきもの
2
交易地酒田港での足軽目付の記録を紐解く書。捕物帳系フィクションのように奇怪な話はないものの、それだけリアル。江戸ではないからかどことなく素朴さを感じる。2017/06/10
転天堂
1
時代作家の貴重なネタ元となる、庄内藩酒田の足軽目付の業務日誌を事件簿風に綴っている。ふつうこうした下級武士の業務日誌は、淡々と事実を記録していくように思われるが、この日誌では所々に筆記者の感想や主観的なコメントも混じっていて面白い。見せ物興行のチェックという、明治の警察の興行鑑札に通じる業務は楽しそうだが、幕末の江戸勤務や戊辰戦争など、時代に巻き込まれていく様子が読み取れる。明治で廃藩となった後の彼らはどうなっていったのか、そちらも気になってしまった。2025/12/22
8
1
実際の資料の紹介本なので、一つ一つの事件の背景や動機が一面的だったり、始まりや結末が不明だったり大事な部分が欠けていたりするんだけど、そこがまたリアルな部分で面白い。しかし作者が一番この原資料を楽しんでるのが伝わってくるのがもっといい。楽しんだ資料をちゃんと他人に伝えてることが羨ましい。2023/10/27




