内容説明
モンタギュー家の一人息子ロミオは、ある夜仇敵キャピュレット家の仮面舞踏会に忍び込み、ある娘と劇的な恋に落ちる。が、彼女はまさしくその仇敵の一族の一人娘ジュリエットだった。固く永遠の愛を誓いあう二人だが、運命は逃れようのない破滅へと加速してゆく……世界恋愛悲劇のスタンダードを原文の持つリズムや巧みな心理ドラマにこだわり、より分かりやすくよみがえらせた、新訳版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
著者の生き様を学ぶ庵さん
34
東大の河合祥一郎訳。いつも通り薀蓄が多く、ためになる。モンタギュー家とキャピュレット家を別の団体・国家に置き換えれば、嘘臭い題目や大義名分が湧き出てくる。ジュリエットを仮死状態にするトリックの先祖は誰かわからないが、これにヒントを得て美女を仮死状態にして男達が争う光景を見た。『北斗の拳』だ。2016/05/09
マンセイ堂
34
何度も耳にした作品でしたが、読んだことがなかったので挑戦しました。所々に言葉遊びのような表現があり、常に重い空気が漂うような話ではないので読み終わるのは速かったです。「悲しみは愛の深さを示すけれど、悲しみすぎるのは、知恵の浅さを示すもの」という言葉が印象に残りました。2013/07/01
Yuzupon
18
宝塚のロミジュリが好きなので原作の翻訳も読んでみた。大人になった今となっては、ロミオとジュリエットの悲劇以上に、ロミオとジュリエットの亡骸(舞台にはパリス伯爵とディボルトの亡骸も転がってる)の前で何世代にも渡る憎み合いに終止符をうつ両家の姿により心打たれる。印象に残ったのは台詞の詩的な文体の美しさ。言葉選びの美しさは翻訳でもある程度伝わるが、脚注で都度解説のあるヒロイック・カプレット(英雄詩体二行連句)やソネット(十四行詩)の多用された韻の響きはわからない。朗読を聞きたいし原文を一字づつ訳してゆきたい。2015/06/09
はづきち
13
6月の演奏会でプロコフィエフのロメジュリを演奏するのですが、実は細かい話よく知らなかったなぁ、と思って読んでみました。 鴻上さんの解説にもあるように、感情を全て言葉に出しているのが印象的でした。なるほど、ちょっとオーバーだけど、嬉しさや悲しさをこんな比喩で表現するのね、みたいな。 それにしても、ジュリエットが一度パリス伯爵との結婚を断った時、キャピュレットがあまりにもひどくジュリエットを罵倒するので笑ってしまいました。そこまで言わなくても…みたいな。2015/02/15
日々珠
12
来たな。絶えて久しく恋愛小説はここまで響かなかったものを。友の語る、毒薬を手に入れる筋までを聴いて別れてからというもの、次が気になり、思いが募り、この本を手に取って。とうとう胸撃ち抜かれた。ロミオが墓場に駆けつける場面で同調した。苦しみが華、悲劇が心を洗うというのか。雲雀鳴く、光あふれる野原が見たい。自らをも裁く見事さに声もない。2012/05/22