内容説明
平仮名でしか表せない和語の柔らかな語感と、もとは異国語である漢字を血肉化した熟語たちの重厚で凛とした響き合い。日本語の持つこれらの美しさを愛し、誇りに思わない日本人はいないであろう。しかし、これらの美しさは、優れた文学や随想、評論、論文、そして会話などに実際に使われたとき、その文脈の中でこそ、何にも増してまばゆいばかりに輝く。芥川龍之介『神神の微笑』、三島由紀夫『剣』、川端康成『古都』……。本書は、文豪たちの優れた作品の中にきらりと輝く美しい言葉を、前後の文章とともに厳選し、その作品の中であえてその言葉が使われている意味合いも含めて、解説している。例えば、「あいろ」「ますらお」「つづら折り」「おとなう」「居合腰」「たゆとう」「あやかし」「一散走り」など。手紙に、スピーチに、日常会話に、一度は使ってみたい、残していきたい、言葉の宝物。
目次
1 一度は使ってみたい美しい日本語
2 じっくり味わいたい美しい日本語
3 人に伝えたくなる美しい日本語
4 作品がより深くわかる美しい日本語
5 残しておきたい美しい日本語
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
及川まゆみ
6
読物としてなかなか面白いのであるが、なにしろ出典が古い(笑)。いや、別に悪いって言ってるんではなくて、近代文学が好きな人には面白い本だと思う。つまり、現在においては死語となっている単語ばかり。王道の漱石、一葉、鴎外、芥川、川端、三島などなど。新しいところで向田邦子、井上靖、司馬遼太郎、吉行淳之介など。さて、「手紙にスピーチに日常会話に一度は使ってみたい」とあるが、これをスピーチでやったら白ける(かもしれない)し、会話で使ったら「神様のカルテ」の主人公みたいに変人になってしまうかも。お気をつけて。2014/10/18