中公文庫<br> 桃

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中公文庫

  • 著者名:久世光彦【著】
  • 価格 ¥712(本体¥648)
  • 中央公論新社(2011/12発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784122044999

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内容説明

父の通夜にきた女の、喪服からのぞいた襦袢の襟の色(「桃色」)。女が出て行ったあと、卓袱台のうえに残された腐りかけた桃の匂い(「桃--お葉の匂い」)。濃密で甘く官能的な果実をモチーフに紡ぎ出される八つの短編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

こばまり

51
いやらしくておそろしくて。気付けば息潜め頁を繰る私。内側に潤みを湛えた女は確かに皆、桃だ。己の果実性をどこか持て余している。不穏な時代は小説にするとやけに魅力的だ。ならば現代もそうなのか。2017/02/03

23
面白かったです。桃って官能的ですね。退廃的なエロティックさと湿度を感じました。「同行二人」が好きでした。2015/12/04

安南

19
桃に纏わる官能的な八つの短編。久世さんは二.二六事件や血盟団事件など、好みのモチーフを描いてくれるから嬉しいのだけど、なにぶんやり過ぎてしまう。ここで止めておけば品がいいのに、こってりと盛り付けるから、文学を通り越して演歌や昭和歌謡になる。それもまた魅力でもあるのだけれど。濃厚な味付けでちょっと胃もたれ気味。とはいえ「むらさきの」と「尼港(ニコライエフスク)の桃」それから、〆の「桃 お葉の匂い」は素晴らしい。この三編だけでも充分価値ある短編集。2013/04/13

不在証明

14
空間に始終満たされているのは濃密なにおい。むせかえるほどの艶やかさと水気をはじく緊密さが同居している。モチーフである桃のイメージが刷り込まれているだけではないように思う。一定して果実の匂いに、死の匂い、病の匂いに血の匂い、短編ごとそれぞれ異なる薬味が入る。どれも粒ぞろい、端から賞味できる幸せ。2016/09/11

中禅寺 桜子

13
久々の久世作品、何とも耽美な世界観で大人の読み物です。 桃にまつわる短編集ですが、前篇から甘くて濃厚な色香が立ち上ります。 殺人も探偵も解決も無いので、サクサク読み進める感じでは無いですが、色っぽくて良いですよ^^2014/08/25

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