内容説明
「この一冊は、私が珍妙な恋愛をしつつ、読んだ本の珍妙な感想をつぶやきつつ、ごくふつうにすぎていく日々をつづったエッセイです。あなたのごくふつうの日々と照らし合わせて読んでくれたらとてもうれしいです」(「序」より)。注目の直木賞受賞作家、角田光代による共感度100%のちょっぴりせつない恋愛エッセイ!
目次
恋愛プリズム(相性 錯覚 ほか)
恋の言葉に溺れるな!(映画『マディソン群の橋』クリント・イーストウッドのせりふから シェークスピア『アントニーとクレオパトラ』アントニーのせりふから ほか)
旅と本の日々(エリーゼのために―忌野清志郎詩集 西の昼と東の夜 ほか)
本と一緒に歩くのだ(詩は心の景色を変える 奇跡呼ぶ「だれかへの思い」 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ユメ
47
角田さんが、どんな恋をしているか、どんな本を読んでいるか、どんな旅をしているか語ってくれる。このエッセイの執筆を通して、角田さんは自身にとっての「普通」が世間にとってはちっとも「普通」でないことに気付いたという。私はエッセイというジャンルを好んで読むのだが、それは他人の多様な「普通」を垣間見るのが楽しいからかもしれない。角田さんの書評には全幅の信頼を置いているのだが、本書に収録された中では開高健についての文章が出色。『輝ける闇』を携えて訪れたベトナムで角田さんが体験した時空の歪みには、私も思わず息を呑む。2019/05/12
団塊シニア
31
つきあった男性で浮気しなかった男性はたった一人しかいなかった等筆者の恋愛体験をもとに恋愛観、男性観が語られており面白い内容である。2013/06/03
あんこ
23
角田さんは自分と対極にあるような気がして、高校卒業後は読まなくなってしまいましたが、たまたま開いたページに『男の手料理というやつが私はだいきらいである』とあって、そのまま買って一気読み。考え方は全然ちがうけど、面白い、なんて面白いんだ、この人は!と思いました。軽妙な口調で語られる恋愛こぼれ話は、普段そういうものを避けているわたしにとってはとても新鮮でした。外出先でにやにやしながら読んでいました。少しだけ気持ちが軽くなるエッセイでした。2015/02/03
緋莢
17
自分の考えていることはだいたい標準である、と思っていた著者。しかし、恋愛系エッセイを書いているあいだに、「あれ、なんか違う」と気づいてしまった。みんな珍妙な恋愛癖なのだから、それがふつう。へんに偏った恋愛がこの世のまったきふつうと悟った著者による、恋愛、読んだ本の感想 ふつうに過ぎていく日々を綴ったエッセイ。2017/11/01
ゆい
15
ああ角田さん。いつか角田さんのようなお姉さん友達が欲しい。むちゃくちゃ飲んで喋って話を聞いてもらって、わーお腹いっぱいだね、お休み、なんて言い合いたい。いつものようにどのお話も楽しくて深かった。角田さんに、あんたたち互いを離すなよ、って言われたらどんなに嬉しいだろう。 あと後半の複数作品を織り交ぜた書評もすごく賢くて楽しかったです。2017/07/06