ちくま文庫<br> 甘粕大尉 ――増補改訂

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ちくま文庫
甘粕大尉 ――増補改訂

  • 著者名:角田房子【著】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2013/10発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480420398

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内容説明

関東大震災下に起きた大杉栄虐殺事件。その犯人として歴史に名を残す帝国陸軍憲兵大尉・甘粕正彦。その影響力は関東軍にもおよぶと恐れられた満洲での後半生は、敗戦後の自決によって終止符が打たれた。いまだ謎の多い大杉事件の真相とは? 人間甘粕の心情とは? ぼう大な資料と証言をもとに、近代史の最暗部を生きた男の実像へとせまる。名著・増補改訂。

目次

1 大杉栄殺害事件―大正十二年九月十六日(一九二三年)
2 軍法会議―大正十二年十~十二月(一九二三年)
3 獄中―大正十二年十二月~十五年十月(一九二三~二六年)
5 フランス時代―昭和二年八月~四年一月(一九二七~二九年)
6 満洲へ渡る―昭和四年七月(一九二九年)
7 満洲建国―昭和七年三月(一九三二年)
8 満映理事長となる―昭和十四年十一月(一九三九年)
9 敗戦―昭和二十年八月(一九四五年)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

樋口佳之

57
純粋培養された一人の帝国軍人の評伝として読み終えました。表の歴史に残らない事を仕事としていたのだから難しい部分あると思う。北京街路樹を守ったお話、東条石原会談をお膳立てしたお話など心に残るでしょうか。/読み終えて冷静になると自死の考察はちょっとと思いました。石原に思想なき実務屋と評された方。鍵を握る実務の方が自死する、それによって全体が闇に…の光景、現在でもありますから。大杉事件の真相を超える、明らかになれば自身が心酔した天皇の国全体に関わる何かを封印したのでは。2023/08/18

モリータ

14
◆'75年単行本、'79年中公文庫、'05年ちくま文庫で増補改訂。関東大震災時、陸軍将校による中国人留学生・王希天斬殺事件について増補・追記がある。◆甘粕正彦の生涯について、大杉栄殺害事件→生い立ち→フランスでの鬱屈→満州事変・建国時の軍と甘粕の動き→敗戦・自殺という流れで描く。◆毀誉褒貶ある甘粕の、当時の日本人として見た際の人間性と限界にも注目。大杉栄殺害には個人の犯行ではなくやはり陸軍の意向があったと推察(大意)。◆満映理事長時代の文化振興策の件は涙ぐましいものがあるが、満州の文化施策にも興味あり。2021/05/28

fseigojp

10
実に『生真面目』な組織人だったことがわかる 東条英機の印象に相通じるものがある2015/07/15

May

9
対象の一面に光を強く当てることで、明確に人物像を描く手法もあるが、角田は読者に甘粕を多面から提示する。であるからこそ、描かれた人物像は一層奥行きのあるものになっている。これほどの作品を生み出したのは、死後30年ほどにもなる甘粕の実像をつかむための徹底した取材だけではなく、とことんまで知ろうとした意志と熟考があったればこそではなかったか。そうした探求の先に、本来複雑な存在であるはずの人というものの実像の一端が、やっと見えてくるんだろう。この甘粕が角田の描いたものにすぎないとしても、作品の出来は否定できない2021/03/31

みなみ

9
甘粕大尉の生涯を追った一冊。大杉栄殺しの裁判、投獄、フランス行き、帰国、満州国での暗躍、満映り理事長と波乱万丈だ。大杉一家殺しは軍の意志であるが甘粕の単独犯ということになり、極悪人のイメージがついてまわっている。その甘粕の真の姿は?多数の証言をベースに甘粕を語る力作だ。著者は、甘粕は戦前の価値観に生きているのだから、現代の価値観から安易に断罪してしまうことを良しとしない。しかし実は日本にはずっと戦前の色が残り続けているのではないか?ここ数年それが色濃くなっているのであって。中心にいるのは天皇ではない。2018/08/05

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