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内容説明
国際関係でも日本の社会のなかでも、夫婦間でも親子間でも、あるいは自分自身のなかでさえ、コミュニケーションはうまくいっていない。──人間と人間が向かいあうところ、必ずすれ違いや葛藤や疎外、ディスコミュニケーションが生じます。今、日常を生きるとは、コミュニケーションを当然のものとするのではなく、ディスコミュニケーションの海を航海すること、ディスコミュニケーションを抱えながら他者へ自己へとまなざしを向けることなのだ、と著者は説きます。
目次
第1章 街のディスコミュニケーション(自動改札 高校生たち 食堂のコーヒー)
第2章 学校のディスコミュニケーション(教育音痴の教育改革 教育的ディスコミュニケーション・ショック 障害児の就学指導)
第3章 自分とのディスコミュニケーション―小松川事件(理由なき犯罪 自分がわからない 「アウトサイダー」と李珍宇)
第4章 映画に見るディスコミュニケーション(「情事」 「赤いテント」と「ひかりごけ」)
終章 ディスコミュニケーションにこそ明日がある
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
anenyan
1
冒頭では、所謂モンスタークレーマーの如き作者の猛烈な文句付けに辟易させられた。頭の固い頑固じじいのナルシスティックな本を買ってしまったのかと後悔しながら、読むと、その問題の根源にはコミュニケーションの断絶があるという。いくらでもあるコミュニケーション断絶の本とは異なるのは、人間の内部で、自分自身との断絶が起きているのではないか、という視点である。自分でしたことの動機が分からない。周りが責めるままに、鵜呑みにしてしまう。誰もが赤の他人と繋がれる近年ネット社会で、自己の内部の孤立は、ありふれた問題だ。2019/05/01
る-さん
0
「なんてクレーマーだ!」というのが読み始めてからしばらくの間の正直な感想だった。しかし、読み進めるうちに自分がいかにディスコミュニケーションの世界に入り浸っているかが逆に露呈されたかのような気分になった。後半は事件や映画を例にディスコミュニケーションを追うが、個人的にはどこかしっくりと来ないもどかしさが残る。(このもどかしさは何だろう?)「内部の人間」とのディスコミュニケーションは現代人個々にとっての課題なのかもしれない…2011/07/12