内容説明
元警察官・大道寺圭(だいどうじけい)は、一冊の本を書いた。警官時代に出会ったおバカな犯罪者たちのエピソードを綴(つづ)ったもので、題して『死んでも治らない』。それが呼び水になり、さらなるまぬけな犯罪者たちからつきまとわれて……。大道寺は数々の珍事件・怪事件に巻き込まれてゆく。ブラックな笑いとほろ苦い後味。深い余韻(よいん)を残す、コージー・ハードボイルドの逸品!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ダイ@2019.11.2~一時休止
120
連作短編集。おバカな犯罪者たちがイイ感じ。あと地名に葉崎とか他作の人物が出てきたりして少しニヤリ。2016/09/15
セウテス
90
元刑事で小説家の大道寺圭は、自分が警察時代に扱った事件をテーマにした、「死んでも治らない」を書きあげる。本作の特徴は、大道寺が警察を辞めるきっかけとなった過去の警察最後の事件の間に、現在の出来事が交互にサンドされている事だ。不思議な事は、過去と現在が関係しあって、伏線がひかれているという驚き。よくぞこんな構成を考えたものだと感心してしまうが、そこは若竹氏らしい毒がしっかりと響いてくる。しかも物語で語られる犯罪者が、ちょっと間抜けな人たちなのが凄くいい。ヒントに気づき、謎が解けた時の気分も良い余韻を感じる。2023/01/26
aquamarine
88
元警察官の大道寺圭。彼の警官としての最後の事件の間に、退職後物書きとなった彼が遭遇する5つの事件を挟む形で物語が進みます。細切れの最後の事件を追いつつ、退職後の彼の事件を読んでいると、いくつか名前が重なってきて…。切れ者っぽいのに少々頼りなさげな最後の事件パートでの彼が、ピースが綺麗に合った読後はとてもとても愛しい男になっていました。この構成と少々ブラックでハードボイルドな展開は、さすが若竹さん!という感じでとても好きです。葉崎市が舞台のものもありましたがそちらのシリーズは未読。そちらも読まなくては。2019/04/10
papako
75
なんか若竹七海作品再読祭りになっています。刑事を辞めるきっかけになった事件はすっかり忘れてた。そして作家になってからの事件はしっかり覚えてた。自分の記憶の不思議を味わいました。覚えてた事件の方は、こねくり回されるので、ちょっとしつこい。葉村シリーズのようなキレの良さはない。それでもブラックで手の込んだオチは楽しめました。間抜けな犯罪者の話も読んでみたかったのにな。続きは出ないだろうから、この感じの短編集お願いします。アンソロジーのあの2人でもいいですから!2018/12/31
nico🐬波待ち中
74
大道寺圭は警察官を退職した後、警察官時代に遭遇したちょっとマヌケな犯罪者たちのエピソードをまとめたノンフィクション本を執筆する。大道寺圭が警察官を辞めるきっかけとなった最後の事件と、作家となった現代を交互に織り交ぜながら、奇妙な事件に次々に巻き込まれていく大道寺圭。2つの時代をまたいで登場する個性豊かな犯罪者たちに翻弄されつつ辿り着いた事件の真相は、ちょっと意外でなんだかモヤモヤ。連作短編の中の『殺しても死なない』がヒネリが効いていて面白かった。2022/11/24