講談社文庫<br> 言い難き嘆きもて

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講談社文庫
言い難き嘆きもて

  • 著者名:大江健三郎【著】
  • 価格 ¥628(本体¥571)
  • 講談社(2014/11発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062749565

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内容説明

「これを書いておかなければそのような経験や思考があったことすら忘れてしまう。つまりこのいまは、生きなかったと同じになる」。切実な思いからやさしく語られる数々の「小さな物語」。大岡昇平、武満徹らへの敬愛、言葉への真摯な考察と自作への思い。今を生きる心の姿勢と希求(ねがい)を綴る至高のエッセイ集。

目次

『言い難き嘆きもて』のための前口上
I プリンストン通信
プリンストンの光/日本人のモラリティー/共通の言葉を作ること/『ヒロシマ・ノート』仏訳/鄭義との食事/トニ・モリソンと『ハックルベリー・フィンの冒険』/学生たちと食事して/帰国して思うこと
II 人生の細部
オカルト的な「偽態」/クジケぬ人の余裕/具体化される祈り/「遅筆」を推理する/慨嘆するだけでなく/約束について/わが精神は怒りに駆られ/家としての文法/日をとらえよ/「取り返しつかぬ」はずなのに/新しい人/プルースト嫌い/おっちょこちょいのとこ/初歩的な算数/一つの秘密/牛の尾/日本人びいき/公、おおやけ/日本語の練習/ディケンズびいき/精神的鎖国/取り替え子/公正な翻訳/水滸伝/本の推薦/追悼記事/センチメンタリズム/紡錘形
III 沖縄の「魂」から
三十年ぶりの「沖縄ノート」/「美しい言葉」の行く末/壊れがたく強きもの/大正天皇のクスノキ/自分を歴史に近づける/海上ヘリポートの「城」/ジュゴンと「風景体験」/「反復帰」論の照らす明日/「日本問題」として解く
IV 言い難き嘆きもて
武満徹のエラボレーション/もうひとりの師匠へ/「希有な人だった」/この人に導かれて祈る確かさ/宇宙にとどまる花/安江良介、志のリアルな持続/微笑しながら、あるいは視線をそらして真面目な顔になって/大岡昇平さんは生きている/『死靈』の終わり方
V 自作をめぐって
マイアミ書籍市、自作朗読/ドイツの朗読会で/ユマニスムに向かって/すでに懐かしい本/宙返り/『宙返り』をめぐる七つの即興/センダックの贈り物/記憶してください。私はこんなふうにして書いてきたのです。
『言い難き嘆きもて』文庫版のために

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

belier

1
90年代末期の文章が収められている。大江のエッセイ集は時事問題が語られる部分があるが、今との違いでなく停滞しているのが確認できた。さて大江はノーベル賞受賞時に小説家引退宣言をして以来スピノザを読んですごしていたが、ここで小説再開の報告をしている。「じつに、私の人生は小説よりほかになかった!」と。この後にどれも素晴らしい長編を8作品も出しているのだからとんでもない作家だった。『宙返り』、『取替え子』の創作秘話が語られている。あと実は若い頃からプルーストを熱心に読んでいたことを明かしている。これも貴重な話。2023/11/10

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