内容説明
ノーベル賞作家の心を打つ魂の講演集。宗教、文学、丸山眞男、ヒロシマ、「新しい人」の思想…様々なテーマへの熟慮を通し、ノーベル賞作家の語る主題は、“日本人は鎖国してはならない”という一文へと収斂(しゅうれん)する。希望を失わず、未来へつなぐため、プリンストン、北京、ベルリン他、「この惑星(プラネット)のすべての住人」に向けて国内外で行われた、魂の講演録。
目次
『鎖国してはならない』のための前口上
宗教的な想像力と文学的想像力
ヨーロッパの日本研究へ
丸山眞男の言語作用
「新しい人」に向かって
本当の開国を「始造」する
「ヒロシマの心」と想像力
懐徳堂から東海村まで
ベルリン・レクチュア
北京講演二〇〇〇
きみたちにつたえたい言葉
道徳的な態度とよく考える態度
ここから新しい人は育たない
『鎖国してはならない』文庫版のために
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
belier
1
『言い難き嘆きもて』と同時期に出たエッセイ集。表題の通り、新しい鎖国の思想が現れたことを憂いてる。自立した個の横のつながりより、上からかぶさってくる国家的なネットに包まれることを好む人が現れて来たと嘆く。広島、長崎につながる日本人のモラルはすでに壊れたとし、再建できるかが問題だという。自己中心的な思い込みではなく、痛苦をあじわいながら学んだ柔軟な自信をつけよと説く。また、東海村JCO臨界事故があった頃で、原発について全面的な情報公開をせまるだけの実力をマスコミや市民は持っているかと問う。残念ながら全て..2024/01/31
sa-
1
大江さんのエッセイや講演集を読んでいると、読書への真摯な意欲が湧いてきます。今回の本はかなり難しかった。福沢諭吉は「学問のすすめ」しか知らなかったし、”民主主義”への考察とその歴史的な変遷にも愕然としました。自立した人として、想像力と考える力の必要性も痛感。要・再読書です。「ヒロシ・マノート」も。2010/09/10
hose1239
0
核時代に生きる人々へ贈る、戦後民主主義者の文学者からのメッセージ2011/06/04
麦茶
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まだ消化しきれていない。歴史観等、参考になりました。2009/07/12
カイ
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飛ばし飛ばし。 戦後民主主義、丸山眞男、三島、ヘミングウェイ…2018/09/04




