内容説明
阿弖流為と坂上田村麻呂。陸奥蝦夷と律令国家の抗争の日々。陸奥の蝦夷が造りあげていた、大和律令国家に対立するもうひとつの国・日高見国の倒壊を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いきもの
2
阿弖流為や田村麻呂が主人公かと思いきや耳無という盗賊や僧の果安の活躍が目立つ。と言っても後半はやはり阿弖流為と田村麻呂の阿弖流為の戦いに焦点が移っていく。理想を目指すも田村麻呂の良心的な懐柔政策によりどんどん瓦解されていく蝦夷軍の様子が悲壮。2014/06/02
麻由
1
良くも悪くも歴史小説だなあ。勉強になった。2022/10/22
ita
1
陸奥甲冑記ー第3回吉川英治文学新人賞受賞作。八世紀、桓武天皇の時代、蝦夷平定を描いた作品です。 蝦夷の族長阿弖流為に対するは征夷大将軍坂上田村麻呂。阿弖流為は「火怨(高橋克彦著)」でも一度読んでました。田村麻呂は武力だけではなく、帰順した者たちを助命し、蔑むことはしなかったため、離反者が続出し阿弖流為達は内部から崩壊していきます。結末は、・・・。やはり史実と同じですね。 人名、地名、役職名の漢字が難しく若干読み辛かったです。星二つ(☆☆・)2018/05/13
りー
1
桓武帝の御代に行われた蝦夷討伐を、朝廷側、蝦夷側の両面から描いた作品。阿弖流為がどんなに戦っても、豊かさの誘惑には勝てなかったのだ、と、内部から崩れる蝦夷の哀しさを感じました。場面場面で視点が様々な人物に変わっていくので、気持ちを乗せて読んでいくのが難しかったですが、内容は重厚で説得力があります。田村磨呂の偉業が必ず現在も日本史で教えられることを考えると、未だに日本は天皇「大和朝廷」目線なんだな、と思いました。90年代くらいから、東北在住の作家さんが、東北目線の作品を書いてくれるようになりましたが。2018/04/15