講談社文芸文庫<br> 星条旗の聞こえない部屋

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講談社文芸文庫
星条旗の聞こえない部屋

  • 著者名:リービ英雄【著】
  • 価格 ¥1,144(本体¥1,040)
  • 講談社(2014/05発売)
  • ポイント 10pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784061983809

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内容説明

横浜の領事館で暮らす17歳のベン・アイザック。父を捨て、アメリカを捨て、新宿に向かう。1960年代末の街の喧騒を背景に、言葉、文化、制度の差を超え、人間が直接に向き合える場所を求めてさすらう柔らかな精神を描く野間文芸新人賞受賞の連作3篇。「日本人の血を一滴も持たない」アメリカ生まれの著者が、母語を離れ、日本語で書いた鮮烈なデビュー作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おさむ

37
16歳で日本文化にであったリービ英雄さんの私小説。1960年代末の日本社会の独特な空気感があります。「逝きし世の面影」や「東京に暮らす」等にも似た、外国人の視点から見た日本像の面白さ。映画で言えば、「ロスト・イン・トランスレーション」ですね。2016/05/08

メタボン

29
☆☆☆★ 3編の中では「仲間」が良かった。アメリカ人なのに日本にいることのアイデンティティの揺らぎが良く表れており、生卵を飲むことで日本人と同化しようとするラストが良い。新宿の猥雑さも良く描けているし、何と言っても「外人(作品の中では嫌悪感を持って使われている言葉だが)」とは思えない日本語の文章の良さがリービ英雄の特色なのだろう。2021/08/16

三柴ゆよし

20
アメリカ領事の息子である十七歳のベン・アイザックが、dependent(扶養家族)の資格を放擲し、ひとり新宿の街へ飛び出していく、自伝的連作三篇「星条旗の聞こえない旗」「ノベンバー」(原題「新世界へ」)「仲間」を収録。この連作が、厳格な父への反抗心によって家出を試みる、単なる不良少年の物語に留まっていないのは、ひとえに<日本語への所属>というテーマによってである。ベンが直面するのは、日本語が話せる・話せないという次元の問題ではなく、日本語の<所有権>をめぐって繰り広げられる熾烈な闘争であるといえる。(続)2014/09/14

ネムル

16
ちょいと前のハードボイルドの翻訳調のようなやや硬い文体に戸惑ったが、次第にベン・アイザックの言語への格闘・越境と共に馴染みだす。言語を通して世界を知り(「おれも、しんじゅくを知っている」)、世界に迎え入れられる(「自分が世界の中にいる、実際にいるという衝撃」)、シンプルでいて綺羅星のような言葉たちが散乱している。そして、言語への帰属を巡り飛び出すこと(「とうとうおりちゃった、みんなといっしょにおりちゃった」)、この恍惚と、だが孤独なラストのかっこよさ。これはハードボイルドのかっこよさにも近しい。痺れた。2017/01/12

モリータ

9
◆表題作『群像』1987.3、「ノベンバー」同90.10、「仲間」同91.11発表。単行本92年講談社刊、文庫版(本書)2004年刊。作者は1950年生、発表時37歳。著者の分身である17歳のユダヤ系アメリカ人の主人公が、1967年の日本(横浜、早稲田大学、新宿)で日本語と出会い、さすらう。◆物語中の出来事を「異文化接触」や「第二言語習得」「アイデンティティの葛藤」といった今の用語で形容すること、そうした面にナイーブで愚劣なやり取りをするしかない、当時の日本人の姿を今の感覚で嘲笑することはたやすい。(続2022/09/18

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