内容説明
あてにならない人生であるから、この舟がてんぷくすることばかりを心配していてもはじまるまい――明治・大正・昭和を駆け抜けた反骨の詩人・金子光晴。その滋味溢れる洒脱な文章は、今もなお色あせることがない。「幼時からこの間のこと」を綴った表題作を中心に、晩年の筆になる随筆を収録。
目次
這えば立て
良妻・悪妻・いま病妻
うちの彼女に
この頃のこと
名前のことなど
何と昭和も五十年
スプーンを指で曲げる話
きのうきょう
ピカソの死
高山ゆき〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
18
詩人金子光晴氏のエッセイ集。子供の頃のことや現代社会のこと、言葉についてなどテーマはいろいろ。尾籠な話もあります。(苦笑)。柔らかな文章のところどころから、この詩人独特の反骨精神がのぞくところが魅力。いつも感じることだけど、詩人は韻文だけではなくて散文もうまい。作家の書く文より詩人の書く文の方が強く印象に残る。密度が濃くて読み飛ばせない感じ。イメージの喚起力も詩人の文章の方がある。金子光晴のこのエッセイ集にもそれを感じた。2012/05/28
hiratax
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金子光晴の最晩年のエッセイ集。このころ並行して「どくろ杯」「ねむれ巴里」「西ひがし」書いていたのだな。2017/05/08