ファンタジーとジェンダー

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ファンタジーとジェンダー

  • 著者名:高橋準
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • 青弓社(2014/03発売)
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  • ISBN:9784787232342

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内容説明

空想的な創造でありながら、同時に現実社会と対峙し批評するファンタジーという世界。作品を成立させるしくみである「男装の麗人」「戦う女性」「家族」を軸に、現実のジェンダー関係やセクシュアリティにとってのオルタナティブを読み解く。
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目次

はじめに

第1章 迷宮の地図を描く──ファンタジーをどう読むか
 1 ファンタジーとは何か  多種多様なファンタジー  ファンタジーというジャンル  ファンタジーのサブジャンル  戦後日本ファンタジー小史
 2 ファンタジーをどう読むか  「空想的なもの」の成り立ち  ファンタジーと社会的現実  ジェンダーの問題  「読み解く力」を養うこと  「フェミニスト・ファビュレーション」としてのファンタジー  想像力から創造力へ

第2章 「男装の麗人」たち
 1 「男装の麗人」の類型学  ファンタジーのなかの「男装の麗人」  「男装」の意味  『リボンの騎士』のサファイア王子  『ベルサイユのばら』のオスカル  現代の「麗人」たち  「男装の麗人」の四類型
 2 ファンタジーの「古典」における「男装の麗人」  『指輪物語』と「グイン・サーガ」  『指輪物語』──「盾持つ乙女」エオウィン  「グイン・サーガ」──「男装の麗人」諸類型の総登場  「男装の麗人」たちは孤立している

第3章 「戦う女性」たち
 1 ファンタジー世界の「戦う女性」たち  「男装の麗人」から「戦う女性」へ  性暴力との戦い──マーセデス・ラッキー『女神の誓い』  男のいない女たち──ひかわ玲子「エフェラ&ジリオラ」  居場所を求めて──小野不由美「十二国記」の中嶋陽子  三つの作品の比較
 2 女性たちはなぜ「戦う」のか  過酷な現実との戦い──アメリカ・ファンタジーの「戦う女性」  内面の葛藤──日本の「戦う女性」たちの内なる敵  個人からシステムへ──「戦う女性」という「しくみ」の試み

第4章 ファンタジーのなかの家族
 1 散乱する家族──ファンタジー世界の家族像(1)  「家族」という問い  「ハリー・ポッター」と「ベルガリアード物語」──おとうさんがいっぱい  父の名、母の愛  複数化する父、単数の母
 2 別種の家族──ファンタジー世界の家族像(2)  「パーンの竜騎士」──大巖洞と城砦の社会体制  「ダーコーヴァ年代記」──ポリガミーの要請  「十二国記」──特異なセックス/ジェンダー・システムと家族の構成原理
 3 「開かれた家族」へ  「近代家族」の概念と現代ファンタジー  「近代家族」の抑圧的性格  ファンタジーのなかの家族の布置関係  現実の家族/ファンタジーの家族
 4 家族をめぐる地図おわりに──そして、ジェンダーのファンタジーへ

付録 ファンタジー作品紹介

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

chisarunn

6
ファンタジー小説におけるジェンダー関係やセクシュアリテイについて論じた本。例に挙げられるのがほとんど知ってる小説なのでふむふむ、と納得しやすい。切り口が「男装の麗人」「戦う女性」「家族」というのは目新しくはないがよくわかる。「家族」の中の、ファンタジーの中の家族は「散乱」している、というのにはとりあえず賛成だ。BLは異世界ファンタジーではなく異恋愛ファンタジーとでもいうものだが、BLの中の家族はたいてい破綻していて、新しい家族が作られていくものだからだ。ファンタジー好きなら一読の価値ありと思う。2022/01/15

kenitirokikuti

4
ラノベ領域の作品も取り上げられており、なかなか珍しい。前史として「男装の麗人」。サファイア型とオスカル型。女性は男装せねばバトルに参加できなかった。のち、セラムンなどて制限が外れてゆく。指輪では「男装」はエオウィン、グインはアムネリス以下多数▲戦う女性。ヴァルデマール年代記の『女神の誓い』。エフェラ&ジリオラのような、女剣士と女魔法使いというシスターフッド▲付録の作品紹介に、上橋の「守り人」、秋田の「エンジェル・ハウリング」、西の善き魔女、デルフィニア、『妖精国の騎士』、『吸血姫美夕』、『BASARA』2017/07/09

aoto

1
ファンタジー定義論も中々に多い。ファンタジー作品における女性の立ち位置について論じている。男装の麗人から、戦う美少女に代わっていった点が特に注目されている。それらを作品が発表された時代・社会背景と照らし合わせて論じている。十二国記取り上げてるの新鮮2023/06/19

姫宮紅真

1
とても面白かった。児童文学からヤングアダルト向け、指輪物語のような古典まで見晴らして、「現実世界とは違うしくみ」をどう読むか、を考える本。女性はいかに戦うか、家族はいかに繋がるか、ファンタジーという装置でもって実験することができる。取り上げる作品も豊富ですべてのファンタジー読みにとって一読の価値ありだと思います。2016/09/05

SHINOBU

1
突如として10年過去に気分がタイムスリップしたため再読。この当時はXジェンダーの概念がなくて「男になりたいという希望を捨てない」「生まれ持った女という性別に取り込まれない」方法を模索してたなー。リボンの騎士のラストってどうだったっけ? 結局サファイアは赤いハートを選択して青いハートは捨ててしまったんだろうけど、両方持ち続けるキャラが主人公のファンタジーって読んでみたい。2014/05/07

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