内容説明
1960年プラハ。マリ(著者)はソビエト学校で個性的な友達と先生に囲まれ刺激的な毎日を過ごしていた。30年後、東欧の激動で音信の途絶えた3人の親友を捜し当てたマリは、少女時代には知り得なかった真実に出会う!
目次
リッツァの夢見た青空
嘘つきアーニャの真っ赤な真実
白い都のヤスミンカ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
680
米原万里さんが多感な少女時代の一時期を送ったプラハのソヴィエト学校時代の3人の同級生との想い出と、その後を語ったもの。スタイルからして、これはやはり一人称体の小説とすべきだろう。篇中では表題作が最もシニカルで苦みを伴う。それも、チャウシェスク体制のルーマニアを強く反映していたということなのだろう。一方、胸を打つのは「白いヤスミンカ」だ。こちらも故国を反映して、東欧の異端児、旧ユーゴスラビアの物語。パルチザンに身を投じてゆく父親のエピソードも感動的だし、ヤースナそのものが、まさにユーゴスラビアを語っている。2014/12/30
のっち♬
342
ソビエト学校プラハ校での同窓生を30年の時を経て捜し出すドキュメンタリー。彼女たちはそれぞれ複雑な国家情勢や民族性を背負い、その狭間でイデオロギーに翻弄されつつも力強く理想と幸福を求めて生きていた。学校生活のませた会話にはじまり、彼女らの過酷な宿命を描く著者の深い洞察力と筆力にはかなりの説得力がある。「お金がすべて。ここには文化がない」共産主義の理想と現実、文化の違い、アイデンティティ、愛国心など扱われるテーマは多岐に渡るが理解しやすく冷静な筆致で書かれており、それらを乗り越えて結ばれる友情は感慨深い。2017/05/17
遥かなる想い
340
プラハにあった「ソビエト学校」で出合った東欧の友達との数十年ぶりの邂逅の物語。チェコ・ルーマニア等、日本にいてはまず伝わってこない情勢はよくわかり、興味深い。かつて 20世紀の宗教とまで言われた社会主義は今 どうなったのか、日本における共産主義も含めて視野が広がる本である。2010/04/29
absinthe
335
リッツァ、アーニャ、ヤスミンカ。少女時代を東欧で過ごした米原さんの、性格がまるで異なる3人の親友の話。少女時代と再会しに行った現代の話。暖かくて力強くて優しくて、個性ある3人。日本に住んでいると安全で当たり前の気もするが大統領が殺された国もあれば爆撃があった街もある。それでもみな逞しく生きている。外国を見下すことも麗賛することもなく、生き生きとした文体で書き綴る。いつまでも幸せに暮らしてほしいなぁ。遠くから見たご当地の印象とご当地に住む人と再会を喜び合う姿に感動。2020/09/08
ehirano1
327
再読。初読では、「3つの再会(=3つの真実)」に心打たれた記憶があります。再読では、青・赤・白の登場順番と象徴が無意識に気になり、これは明らかに著者の何某かの、いやむしろ重要な意図があるのではないか?青・赤・白は、東欧の多くの国旗に共通する三色。これらの国々は、20世紀の激動(独裁・内戦・革命・崩壊)を経験した地域。つまり3色は、 東欧の歴史そのものの色でもある、というメタなのでしょうか?であれば、著者は政治を“抽象的な制度”ではなく、「色のついた感情」として描いたということでしょうか。2026/06/22




