怒りの方法

著者名：辛淑玉

岩波書店（2011/11発売）

• ISBN：9784004308904

内容説明

うまく怒れないという悩みは意外に多い。
だが、怒りは、生きる力にも、人間関係を変えていくきっかけにもなる。
どうすれば、怒りの感情を効果的に相手に伝えられるのか。
社会への怒りは、どう表現すればいいのか。
怒り上手を自認する著者が、怒りを封じ込めようとする日本社会の歪みを指摘しながら、怒りの素を取り除く方法を伝授する。
怒りは生きるエネルギーにも，人間関係を変えるきっかけにもなるのに，うまく怒れないという人は意外に多い．どうすれば，怒りの感情をうまく相手に伝えられるのか．怒り上手を自認する著者が，エピソードをおりこんで伝授する．

目次

１　怒っている私、怒れるようになった私
２　人間にとって「怒り」とは何か
３　抑圧された怒り
４　怒りの表現力
５　怒りをぶつけられたとき
６　社会への怒りをどう表すか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[kinkin]

この前読んだ「怒らない技術」は怒らないということがポイント。この本は怒りの感情をどのように効果的に相手に伝えるか、社会に対する怒りの表現の仕方、怒りの素をどう取り除くかなどが書かれていた。怒りは決して負の感情だと思わないし、今の世の中は国や権力に対してもっと怒ることが大切だと私は思う。また「怒る」と「キレる」の違いになるほどと思った。自分が強いと感じるか弱いと感じるかで怒りが願望なのか絶望に変わるかなど、腑に落ちる箇所多数。図書館本。

2015/04/16

[hit4papa]

在日朝鮮人である著者が、怒りのあり方、怒りを表現する方法について著述したものです。日本人は耐えることが美徳という風潮があります。本書では著者の考える正しい怒り方が提案されています。それは、自分を肯定するところからうまれるとしています。この点には気づきを与えらるのですが、著者の怒りは反骨精神にとらわれ過ぎているようで、全面的に賛同しかねます。「怒り」は武器にもなりますが、返す刀で自身を傷つけかねません。著者の精神的な強さは生来のものでしょうから、考え方を理解できても僕自らが実践することはかなわないでしょう。

2016/12/17

[ゆう。]

怒りの感情は、とても大切な心の動きだと思いました。社会福祉や保育において、正しく怒ることのできるしなやかな心を持つことの意味は大きいと思います。目の前のクライアントの生活問題の根底には何が原因にあるのかをしっかりと捉え、それに専門職として立ち向かっていくうえでかかせない感情の1つが怒りの感情だと思うのです。また、自己肯定が怒りを生み出すという著者の言葉は重いと思いました。著者は、在日であることで差別を受け、そのなかでアイデンティティを確立していくうえで、怒りの方法を身に着けていったのだと思いました。

2014/04/21

[はと]

非常に学ぶところの多かった本。「『怒る』は、人間関係を築き、つなぐためにするもの。」とし、正面から相手に向かってきちんと意思表示することが必要だと説く。「自分を肯定できる人が怒ると、それは目の前の壁や障害を越えて行こうという、夢や希望になる。他方、自分が弱いと感じているは、怒りは表に出て来ないで、絶望となる」という「怒り」のメカニズムにも納得。この作者が感じる怒りのポイントが自分のそれとは違うので、自分はどういう時に怒るのだろう、ということを考え直すきっかけにもなった。

2014/02/01

[みゃーこ]

読んでいて気持ちがいい。昔、大人のけんかの仕方には作法があるんだよ、と言って勧められた本。非常にためになる。２回再読したが実践は一度もできていない。

2012/07/23