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内容説明
一番大事なのは「何を描かないか」――世界で評価が高まり続ける日本画家である著者初めての書下ろし。美術のみならず芸術を志すすべての人のための芸術原論。
目次
第1章 何を描かないか(自分の中にあるものを描く 自分の無意識をたぐりよせる ほか)
第2章 何を伝えるか(自分の絵を客観的に見る 悩む暇があったら描き込む ほか)
第3章 何を描くか(モチーフとは「授かりもの」 自分を飽きさせない ほか)
第4章 何で描くか(筆一本で勝負する 道具の幅でしかものが見えない ほか)
第5章 何に描くか(日本画の「素材」に釘付けになる 自分に合う技法に出合う ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
breguet4194q
94
現代の代表的日本画家の一冊。タイトルの頭に「千住博の美術の授業」とあります。後書きにあったが、新書とはいえ、本格的に画家を目指す学生の為の授業と言う角度の本です。基本的に、素人でも楽しく読める事もできますが、画家を目指す人でないと理解できない側面も散見されました。ただ、著者の今までの経歴や変遷、絵に向かう姿勢など、広く深く、しかもコンパクトにまとまってます。画家を目指さないまでも、興味がある方が読むと、画家の気分が少しわかるかも。2024/04/20
booklight
37
「ウォーターフォール」シリーズなどで有名な千住博の美大生向け授業をもとにテキスト化。絵を描くことについて平易な言葉で語っている。何も特別なことは言っておらず、ただそれらを徹底してやってきたことが伝わる。芸大も二浪して苦労して入っているので、才能に溺れることもなく「自分の中にあるものを描く」「悩む暇があったら描きこむ」「個性は今以上なくていい」「筆一本で勝負する」など、自分には絵しかない覚悟と想いが伝わってくる。その言葉は絶対ではないだろうが、今を生きる日本画・風景画家としての生き方や考え方がわかる。2022/09/11
ヒロミ
20
千住さんのこだわりと芸術についての考え方がわかる本。すごくいい本だが、日本画だけをひいきのひきたおし的に褒めているのが鼻につく。日本の洋画とてかなりのものだと思うのだが。逆に千住さんのような極めた方でも、考え方には癖と偏りがあるものなのだなあと興味深く読んだ。あと千住さんがかなり自分大好きなところが垣間見えてなんだかびっくりした。勝手に千住さんには欲なんてない仙人のような芸術家だと言う思い込みがあったせいか。何はともあれ、何かをつくる人には読んでもらいたい一冊。2021/07/15
kawa
18
滝をモチーフにした日本画で有名な千住氏の京都造形芸術大学での講義録。芸術家がどのような思いや考えで作品に向かっているか、その一端が垣間見え非常に面白い。余白の大切さの記述が特に印象的。グッドタイミングで大徳寺の永徳・花鳥図や氏の作品に触れるチャンスがあるのでラッキー!!!2017/02/19
おせきはん
15
画家を目指す学生を主な対象として書かれた本ですが、「好きで夢中になれることが大切」「新鮮な切り口こそ求められている」など、画家以外にも共通する重要なメッセージが多くありました。他との違いを強調しようとして、世界中の「人間は皆同じ」ということを忘れないよう注意しようとも思いました。2019/03/11