内容説明
小説誌の編集長、三村幸造のもとに医師を名乗る男から電話がはいった。高岡真紀という女性を知っているか、と。同時に、過去に彼が封印した来生恭子の小説が真紀の名前で送りつけられた。待ち合わせた真紀は、果たして見たこともない女性だった。それなのに恭子と同じようなしぐさで、10年前に恭子が話したことと全く同じことを話す。彼女はいったい誰なのか? 目的は? 本格ミステリー長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
H!deking
89
ドラマ化ということで、こないだ間違えて先にシリーズ最新作の蟻の棲家読んでしまったので、今回はこちら。蟻の棲家は読みやすくてすいすい入り込んだけど、デビュー作のこちらは前半ちょっと読みにくいところはあります。視点が散らかってて詰め込みすぎなのかな。後半は怒涛の展開で一気読みですね。逆に言うとこれがデビュー作だと思うとプロットは凄いですね。どういう風にドラマ化されるのか楽しみ!シリーズ追い掛けます!2023/05/12
papako
65
シリーズ遡って一冊目。解決したはずの誘拐事件と作家の卵の失踪。そして盗作疑惑。一人の女をめぐる二人の男のそれぞれの身勝手な想い。そして小説を書くという狂気。このシリーズの先にあるような物語ではなく、まるで幻想小説のような不思議な語り口でした。きっとこれから読んでいたら、シリーズ読まなかったかも。私はこういう文学論のような話にはまったく興味がないからなぁ。ただ、美智子が真実を丁寧に追っていくところはやはり面白い。そして初めて美智子の外見の描写があった。思っていたのと違ったけど、やっと顔ができました。2019/12/25
dr2006
56
真の作家に疼く本能を描く。作家から生み出されたものは本になって読者へ届く。来生恭子は、自身の深淵から溢れでた渾身の原稿をとある出版社へ持ち込んだ。大小なんらかの受賞によってデビューが許される出版業界で、今どき持ち込みなんてありえない。だが、彼女の作品は違っていた。自らを削って書かれた作品の剣呑な魅力とは。フリーライター木部美智子シリーズは既に2冊読んでいるが、本作が木部美智子シリーズにしてデビュー作とは驚いた!シリーズ化も納得。本格ミステリーとの形容に疑義がない秀作。濃いミステリーを所望の方にお薦め。2025/07/03
ミスターテリ―(飛雲)
41
才能ある小説家が失踪、10年後彼女が書いた作品が別人の手で編集者に持ち込まれるが、なぜか持ち込んだ本人が書いたと主張することから始まるミステリー。「大絵画展」と同じく、この作者の特徴なのか前半を辛抱強く読んでいくと、後半にかけての謎解きが一気に動き出して俄然面白くなり、ここまで読んできてよかったと納得する。特にこの作品は、登場人物の言葉をかりて、作者の小説を書くことはなにかというテーマを含み、強い想いが詰まっている。デビュー作にしてこの構想力と表現力、 恐ろしいほどの才能と力量を感じる渾身の作品であった。2024/03/25
猫ぴょん
30
望月諒子作品2作目✨ 伏線があちらこちらに張り巡らせてるんだろうなーと思いつつ読む。「蟻の棲み家」を読んでいなければ挫折したかも😅文体に慣れていないと読みづらいかな? 登場人物それぞれの狂気が垣間見えて、この物語の落とし所はどうなるのか?大まかな部分は想像通りだけど。 繋がりそうで繋がらないもうひとつの事件の理由に驚く。 そんなに業が深い職業なのー😰ちょっとどうなのそれって。 狂気と執念がある意味ホラーなお話しでした😱 2023/02/12