内容説明
人類にレンズがもたらされ銀河パトロール隊が創設される以前、人類は地球を中心に三惑星連合を組織していた。その彼らを危機が襲う。エッドア人があやつる、かつてない超兵器をそなえた海賊艦の攻撃を受けたのだ。その戦いのさなか、人類はさらに、太陽系外の両棲生物ネヴィア人の宇宙艦と初めて遭遇する。三つどもえの戦いの行方は? さらに本巻では、宇宙を二分してきた善と悪の闘いが、はるかアトランティスの時代にまで遡って明かされる。そして、のちに人類を代表するレンズマンとなるキニスン家の歴史は、当時から連綿とつづいていたのだ! スペース・オペラの集大成、完全新訳版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kagetrasama-aoi(葵・橘)
17
レンズマン・シリーズの第六作目。レンズマンの前史を中短編で語られています。アトランティスの“金色を散らした褐色の目と燃えるようなブロンズ色の髪”の青年の話とか、サラリーマンのキニスンの話とか、楽しかったです。第三部のタイトルになっている「三惑星連合」は元々シリーズ外の作品をレンズマンの世界観で書き直したものとのこと、どうりで“ネヴィア人”の存在が浮いている感じです。主人公もキニスンじゃなくて、コンウェー・コステガン、ヒロインはクリオ・マースデン、この二人の恋愛譚も高校生っぽくて微笑ましかったです。2019/07/30
k16
13
本作より再度小隅訳に戻ってレンズマンシリーズ6作目。 前作最初のレンズマン物語より前史となりレンズマンは登場しない中短編。 いつの時代もレンズマンの先祖は熱い正義漢だった。 サラリーマン小説としてのシリーズ解説に納得。2021/04/29
鐵太郎
11
20億年前の二つの銀河の衝突から始まる、アリシアとエッドアの、壮大な二つの文明の激突の歴史が語られます。そして、地球上におけるいくつもの歴史の流れの中で、いかに悪の背後にエッドアがいたか。このへんは当時の歴史解釈で、ある意味ほほえましい。それから、取って付けたように全然味わいの違うこの世界の創世記エピソード。なるほど... ところでコンウェイ・コスティガンってどんな顔なんだろう?2005/10/28
白義
10
〈レンズマン・ゼロ〉というべきシリーズ全体の世界観の根本を明かした一冊。20億年前に遭遇した善悪二つの超知性から全ては始まった。アリシア人とエッドア人の宇宙を舞台にした生命介入の歴史、その実験場である地球での暗闘をアトランティスからローマ、二つの世界大戦まで駆け抜け、さらにもともとレンズマン以前に発表された別の中編だった「三惑星連合」をレンズマンシリーズの時系列に組み込んで加筆、合体したシリーズ中の異色作。なんで設定の壮大さに反して、黎明編以降は個々の短編のスケール感は減退しているが、設定のどでかさは最高2018/01/10
7H
1
銀河パトロール隊が創設されるまでに起きたいろんな事象、という感じ。冒険譚というより歴史の記録という感じで起伏が少なく盛り上がりに欠けるかと。2022/09/13