内容説明
王政復古の機運が熟したある国をめぐって、さまざまな人物たちがいりみだれるチムニーズ館。そこで突如殺人事件が発生した。バトル警視以下、館に集った英米仏の探偵たちは推理合戦を展開することになるが……。波瀾万丈の冒険ミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
89
★★★★★ アガサ・クリスティの隠れた名作の一つ。 殺人事件があり、ミステリーの様相を呈しているが、実際は謎解きメインではなく、主人公のアンソニー・ケイドがひたすら活躍するヒーロー冒険物語だと思う。 イケメンのアンソニーと超絶美人のヴァージニアの正統派ロマンスもあって、その辺は女性作家らしいなと思った。 後の作品にもちょくちょく登場するバトル警視をはじめ、登場人物が皆個性的で、ラストのカタルシスも味わい深く、実に映画向きのストーリー。こういうの好き。2018/10/26
NAO
77
旧ユーゴスラビアを思わせるヘルツォスロヴァキアの不安定な政情と、石油利権を狙う各国の動き。さらには、かつてヘルツォスロヴァキアから密かに持ち出されロンドン郊外のチムニーズ館に隠されているらしい王家の宝。殺人事件まで起きて、チムニーズ館にはイギリス、アメリカ、フランスからの探偵が集結するという、なんとも壮大な冒険ミステリ。泥棒に関しては目星がついてしまうが、アンソニーのラストにはちょっと驚かされた。2020/01/02
みつ
65
第一次世界大戦後のバルカン半島情勢を連想させる架空の国の王族を巡る政治情勢に石油利権が絡むという壮大な舞台仕立て。主人公は友人と名前を交換して八面六臂の活躍。一方貴族や女性たちの言動はいつものクリスティ世界の住人らしく、両者の共存も読みどころ。いくつかの作品に登場するバトル警視の存在感は意外に希薄で事件の解決も偶発的事情を含むが、スピード感のある展開で一気に読ませ、疑問箇所で立ち止まらせるいとまを与えない。大団円で明かされる主人公の正体はまるでおとぎ話。ミステリではなく冒険活劇兼ロマンスとして楽しむべし。2023/12/08
ゆのん
59
クリスティ作品の中で8冊ある冒険ミステリの1冊。スパイ、大泥棒、悪党、冒険好きのヒロインと快男児、敏腕警視やらが登場。策略や陰謀渦巻く波瀾に富んだ冒険ロマン。かなり昔に読んだ記憶はあるものの内容を全く覚えていなかった為、初読のように楽しめた。1652020/07/16
Tanaka9999
54
2004年発行、早川書房のクリスティー文庫。ノンシリーズの冒険ミステリーですが、話は他のクリスティーの冒険ものに比べて単純ではない。正直読んでいる時、話が整理できていなかった。解説がうまく説明しているので、解説を見て「こういう話か」と知ってから読んだらよいかもしれません。「クリスティー文庫」で時々ある「解説でネタバレ」は大丈夫。というか、この本の解説は「正統派の解説」だと思う。2024/05/15




