内容説明
ローマ法王が魔術に手を染めていた? 大哲学者・デカルトでさえも入れてもらえなかった薔薇十字団って? 悪魔礼拝の秘儀に、ルイ14世の愛妾モンテスパン公爵夫人もハマっていた? 妖術師や時の権力者らが虜になったカバラ、タロット、黒ミサ、自然魔法など黒魔術の数々。その精神性をひも解き、ヨーロッパの神秘思想の歴史的系譜を、澁澤龍彦が日本に初めて紹介。三島由紀夫に「殺し屋的ダンディズムの本」と嘆賞された、オカルト・ブームの先駆的エッセイ集!
目次
ヤコブスの豚
カバラ的宇宙
薔薇十字の象徴
夜行妖鬼篇
古代カルタの謎
サバト幻景
黒ミサ玄義
自然魔法もろもろ
星位と予言
ホムンクルス誕生
蝋人形の呪い
ジル・ド・レエ侯の肖像
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Koki Miyachi
7
あまりに重苦しい暗黒の話が続くので、放置してかなり時間が経ってしまった。思い立って一気に読了。西洋キリスト教文化と表裏をなす黒魔術の世界の毒々しい世界。これをスマートに知的に料理してみせるダンディズム。三島由紀夫が高く評価するのもさもありなん。2015/03/24
彬
6
古い本のようなのでカタカナ表記がいまとは少し違うが、それはおいても面白い。内容は紹介のようなのでそれほど深く突っ込んだものはない。ただジル・ド・レの話は他に比べて長く、しかもそれほど興味がなかったので読むのが苦痛だった。しかし巻末の差別的表現云々って……これぐらいでそんなこと言ってどうするの……。2011/01/31
商業主義の地獄ゆき
5
野ばらんに影響され読んでみました。そしたら野ばらんの解説が書いてあったラッキー!/悪魔の契約書への爪で引っ掻くサインが興味深い。下等になればなるほど変ちきりんな、動物だか植物だか得体の知れないものになっていく傾向にあるようだ。/ラルヴァとは「決して成長しない巨大な胎児の歎きのようなものだ。」/人間の肉体の平衡を狂わせ、神経的な消耗によってひそかに相手の意志を弱らせることにあるにちがいない。魔法にかかる危険が生ずるのは精神や意志力の弱まる瞬間、つまり魔法書にいうところの「白い子供が赤い子供を殺した」瞬間であ2013/01/18
はにまる
4
黒ミサやサバト、タロット(本書でタロック)、ノストラダムス、ホムンクルス、青髭ジル・ド・レエ候といった、オカルト的逸話が満載で、面白い。これが1961年の出版というのは凄い。今更ながらサバトと黒ミサの違いが興味深い。サバトは田舎の屋外で行われていた、おそらくキリスト教にとっては異端となる、古代からの民間信仰に根付くもの。一方で黒ミサは、都市部の教会の内部でキリスト教の僧によって行われた。キリスト教の広まりで、自身の祭りで民衆を集められなくなった悪魔が、教会の内部に逃げ込んだとのこと。2022/07/02
イソテルス
4
2~3年ぶりに再読。澁澤氏が黒魔術と一定の距離を置いて語るので、読み口はカラっとしている。魔術的な湿り気や、ドロドロした雰囲気を感じさせないのが、物足りないと言えば物足りない。ホムンクルスや、他の話題より熱っぽく語られるジル・ド・レエの章が面白かった。2013/04/07