内容説明
石垣島、沖縄本島で、70年近く漁を続ける海人(ウミンチュ)・照屋規正。
赤銅色の上半身には、少年の頃サメに襲われた歯列が大きく刻まれている。
1936年、9歳の時、親に売られて海人になった規正。
2003年3月、規正は初めて「魚が一匹も釣れない日」を体験する。
規正の現在の漁場は、沖縄本島北部、沖縄で最も“ジャラン(豊富)”といわれる辺野古(へのこ)の海。
この海には特別天然記念物の「ジュゴン」が生息し、一方、海上基地「米軍普天間飛行場代替施設」の建設が予定されている。
美しく豊かな沖縄の海に、いま何が起きているのか?
一人の海人の鋼のごとき半生を追い、海から見た沖縄の歴史を描き出す、書き下ろしノンフィクション。
目次
三大高級魚を追う
サメの歯の痕跡とジュゴンの棲む海
石垣島の海
海学校へ
酷寒のサンゴ礁
目ん玉に突っ込んだ指
食らいついたサメ
ダイナマイト漁
サメに丸呑みされた芝居人
ジュゴンを見る
台風の海での孤立
イルカ狩り
海洋博でのジュゴン
再開と辺野古沖のジュゴン
サメ、サーファーを襲う
親子船
辺野古の海で
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
neu
1
沖縄で暮らす一人の海人の歴史。彼らが今の沖縄を支えてきたのだと感慨。2010/11/01
こぺたろう
0
相当、面白いノンフィクション作家を見つけました。 海人の来歴、基地とのかかわり、沖縄を取り巻く状況が、 海人の視点から描かれています。 貴重な資料になるのではないでしょうか。 必読です。2013/02/17
松宇正一
0
★★★2013/02/02
piccoro116
0
沖縄北部、名護界隈で現役最年長海人、照屋規正氏の半生を追いながら沖縄の環境の変化を書いている。照屋氏は石垣島で九歳の時に「糸満売り」という年季奉公に出され、それ以降、ボタンの材料となるタカセガイを一日中採り続ける生活を送る。休日は一年にわずか四日という過酷なものだった。ダイナマイトを使用した漁、数々のサメのエピソード、面白い。当然のことながら照屋氏の半生と平行して沖縄の歴史も語られているので、肩肘はった昭和沖縄の歴史本を読むよりずっと時間を忘れて楽しむことができる。2013/10/10
Koji
0
面白かった。問題はそのままで人は歳を取るという感じも。2020/07/07