内容説明
「リスクのないプロジェクトには手を付けるな」。著者は冒頭でこう断言します。リスクが大きければ、そのぶんチャンスも大きい。リスクという熊とのダンスを楽しみながらソフトウェア開発を進めるべし、というのがタイトルに込められたメッセージです。
本書ではまず、リスク管理が難しい理由を分析。どれも痛快なほど的を射ており、ソフトウェア開発者でなくても身につまされます。その後、解決策が紹介されます。説明に豊富な図や具体的な事例が使われているため、すんなりと理解できます。第14回General Jolt Awards受賞。
目次
第1部 なぜリスクを管理するのか(リスクに立ち向かう リスク管理はおとなのプロジェクト管理だ ほか)
第2部 なぜリスクを管理しないのか(リスク管理をすべきでない理由 不確定性への非難 ほか)
第3部 リスク管理の方法(不確定性を数量化する リスク管理のしくみ ほか)
第4部 数量化の方法(価値の数量化 価値も不確定 ほか)
第5部 嘘かまことか(リスク管理の検証)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kawai Hideki
80
洒落たタイトルだが、内容は血なまぐさいリスク管理の方法論。システム開発のプロジェクト管理において、普段どれだけリスクを「見ないことにしているか」そして、それがどんな悪い状況を引き起こすかについて滔々と述べられている。まったくもって耳が痛いところ多数。筆者が薦める処方箋は、ブレストでリスクを洗い出し、各リスクの確率分布をざっくり見積もり、納期や成果物に対する最終的な影響を、モンテカルロ法で合成して可視化し、リスクが顕在化した時の対策を準備しておく、というもの。さて、無事に熊とワルツを踊れるだろうか。2016/03/24
T2y@
18
ITプロジェクトにおける陥り易いシチュエーションを、論理的に、時にユーモラスに。『プロジェクトの天罰期』には心当たりありあり。あとがきで触れられていた笑い話。多くの人はかく言った。“上司に聞かせたかった”と。 責任転嫁をする前に、先ずは各々でリスクを寛容し、なすべき変革をそれぞれ行うこと。2016/07/23
もよ
10
プロジェクトにおけるリスク管理の重要性を説いた古典的な名著だと思います。すっきり整理されており、必要な点は網羅されている気がします。 ソフトウェア開発に特有の記述がそれなりに含まれている(2~3割くらいかな)ので、そこは読み飛ばしました。 蛇足ですが、「熊」というのは「下げ相場」転じて悪化リスクということなのでしょうが、ソフトウェア開発でこういう言い方が適当なのかはよくわかりませんが...2017/09/02
kumokumot
4
見積もりにおいて予想>目標>N日(ナノパーセント日)というのはすごく役立つ概念だった。見積もり者と実施者が一緒のことが多い環境ではあるけれど、予測と目標をうまく別物として管理していく必要性を感じた。とにかく不確定図ともっと馴染もうと思った。(個人的には結果が仮に良くても判断が悪ければ悪だとするのは株式投資における「リスク」の概念を逆輸入という感じで腑に落ちた)2023/11/19
HANA
4
プロジェクトを進めていく上で管理するべきリスクについて。結構思い当たる内容が多くて、読み進めていくうちに過去のプロジェクト内容を思い出してしまうというか。この本で学んだことを今後思い出しながら進めたい。というかリスクを共有出来る人と仕事はしたいもの。2017/10/12