内容説明
転地療養のため美しく平穏な西インド諸島を訪れたマープル。一週間は何事もなく穏やかにすぎていった。だが、まもなく彼女を相手に懐古談をしていた少佐が死体となって発見される。以前から少佐は何かを憂いていたようなのだが……。義憤にかられた老嬢ミス・マープルが、事件の謎に挑む。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
380
『鏡は横にひび割れて』より後のマープル物は実は未読だった。いきなりこんな良作が控えていたとは。クリスティは『スタイルズ荘の怪事件』でデビューした時点で軸足が安定しており、デビュー作に凝縮したエッセンスを、スパイスを変えながら多くの作品で展開させ続け、驚くことにそのほとんどを傑作に仕立て上げてきた稀有な作家で、今作もその亜流。読み慣れている読者ならば、クリスティの"癖"をつかんで直感的に犯人にたどり着くかもしれない。しかし、真相を看破されて犯人が本性をあらわす様を、一言の台詞で表現するのが毎度上手すぎる。2024/03/02
buchipanda3
121
「人間は本質的にとても騙されやすいということだわね」。ミス・マープルは療養のため英国から西インド諸島へ。美しい景色の中、単調な日々に少々退屈していた彼女は突然事件に出くわす。それも彼女がある噂話を聞かされた直後に。ホテルの滞在者の中に本物の殺人者が潜んでいる。しかし誰かが意図的に嘘の噂を流しており、それがいつの間にか事実のように語られてしまうのが人間の社会。そんな中、老いた偏屈金持ちのラフィール氏のみが惑わされず、マープルとコンビとなって事件に挑む姿が痛快だった。人生を達観したような二人の会話がいい感じ。2023/04/25
chantal(シャンタール)
92
【第154回海外作品読書会】ミス・マープルはカリブ海に浮かぶ島へ長逗留にやって来る。滞在するホテルの宿泊客であるパルグレイヴ少佐は昔話と自慢話が大好きで、あまり他の宿泊客からは歓迎されていない。そんな少佐がマープルとある殺人事件に関するゴシップを語らったその日、突然死してしまう。病死で片付けられたこの事件にマープルは違和感を持ち、そしてこの事件が新たな殺人事件へと発展する。今回ミス・マープルの協力者となる大富豪で口の悪いラフィールお爺さんがなかなか魅力的。今回も意外な犯人で楽しかった!2020/04/11
森オサム
73
ミス・マープルシリーズ長編第九作目。転地療養に来ていたホテルで連続殺人事件に遭遇したマープル。70代も後半と言う年齢ですが随分アクティブに行動しています。途中から同じ宿泊客の大富豪ラフィールとコンビとなり解決を目指しますが、この老人の毒舌、言いたい放題が痛快で面白かった。犯人の正体など全く推理出来ませんでしたので、真相が分かった時には完全にビックリ、非常に驚けて満足でした。不満な点は、他の宿泊客のキャラがしっかりと把握出来ず、誰が誰やら最後まで良く区別出来なかった所。これはaudibleだったからかな?。2025/02/08
Tanaka9999
71
2003年発行、早川書房のクリスティー文庫。マープルもの。マープルは登場時からずっと老婦人、というイメージだが初期は初老の婦人。解説によると少し性格は変わっているという。そういえばそうかも。短編はマープルがよく、長編はポアロがいい、ような気がする。この話については、マープルらしい作品。3部作構想だったという第2作の「復讐の女神」がトラベルものというマープルらしからぬものだっただけに第3作を見たかったきがしている。2024/03/29
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