内容説明
「確かにこの日、私は定住の場を回復して、〈ハウスレス〉ではなくなった。しかし、〈ホーム〉という言葉が家族の存在を前提とするのだとしたら、私はまだ〈ホームレス〉の状態を脱したわけではなかった」――安息の住処を獲得した作家は借金返済と仕事に専念しようとしたが、想像を絶する悪夢に直面し、苦悩する。綱渡りの日々の中消えてしまった身重の妻と幼い娘、はたして再生の道は……? 恐怖に怯え、仕事も上手く進まないが、穏やかな生活を夢見て、もがく日々を描いたホームレス作家のその後。――渾身のノンフィクション!!
目次
第1章 新宿暑い夏(二〇〇一年七月新宿;コマ劇場前の人々 ほか)
第2章 静かな生活(戻ってきた荷物;慈愛寮職員からの思わぬ言葉 ほか)
第3章 迷走の日々(ある区議との出会い;品川区役所の対応 ほか)
第4章 存在理由(ホームレス青年との対話;鰻の約束 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Mitsuo Seki
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ある作家が原稿を書けなくなり、妻子ともども公団住宅を追い出されて、妻子は保護施設へ、作家はホームレスに堕ちていく様とそこから這い上がる姿をドキュメントの形で書いている。 「他者に対する決定的な想像力の欠如」の権現というべき区役所の職員とのやり取りは、一般人が一人で行政に立ち向かうには圧倒的に不利なことをまざまざと痛感させられる。 か細い平均台の上を歩いていて、そこには大きな陥穽があり、落ちるのは一瞬でありそこから這い上がるのは難しい。そんな当たり前のことを迫真の姿で気づかせてくれる。2012/07/19
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