内容説明
投資信託会社社長の毒殺事件を皮切りにフォテスキュー家で起こった三つの殺人事件。その中に、ミス・マープルが仕込んだ若いメイドが、洗濯バサミで鼻を挟まれた絞殺死体で発見された事件があった。義憤に駆られたマープルが、犯人に鉄槌を下す! マザー・グースに材を取った中期の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
415
シリーズ中でも上位の人気作。童謡殺人だし、マープルはキレッキレだしでフック盛りだくさん。登場人物も適度にクセのある人たちが揃っており、飽きさせない。強いていうと、そのクセが、他の作品にも登場していたような感じで、クリスティを連読していると既視感強くてゴッチャになる。クリスティの人物に個性がない云々の評価はこの辺りが関係しているのかも。マープルの登場のカッコよさや、ラストの手紙のくだりなど、良いシーンが多い。マープルは家でじっとしていた方が楽に事件解決出来たのでは?という疑問は言ってはいけない。2018/02/12
ヴェネツィア
375
久しぶりのアガサ・クリスティ。この巻はミス・マープルのシリーズの1冊。この作品の魅力を決定づける要素は大きくは2つ。まず最初は、やはりミス・マープルの名探偵ぶり。彼女の方法は、安楽椅子探偵ではないものの、フォテスキューの邸に留まったままで、行動を起こすわけではなく、ただ関係者の何人かと話をするだけ。そこから卓越した推理を組み立てて行くのである。2つめは、事件がマザー・グースの歌に沿って展開してゆくこと。ミステリーとマザー・グースといえば、先蹤にヴァン・ダインの『僧正殺人事件』が挙げられる。⇒2024/08/04
nobby
170
いやはやラスト30頁でのひっくり返しがキレ味抜群!それまで分かりやすく怪しく描かれていた人物や事柄が見事にダミーあるいはフェイクに変わるのがスゴい!ある富豪の毒殺から始まる一家連続殺人。そこにはまた愚者や悪者ばっか(笑)淡々と事件を追う展開から、中盤でミス・マープルいよいよ登壇♬そして彼女がうたいだす童謡🎶ポケットに ライ麦をー🎶なるほどマザーグース見立てなのか!今作の特徴は彼女が捜査の主役ではないことだが、俄然そこから面白くなった。優しき姿から時に憤りや思いやりに情を込める、その実直さが実に魅力的。2020/08/30
kaizen@名古屋de朝活読書会
125
映像作品を先に見たので、ポケットにライ麦をが、マザーグースだということが想像できた。映像作品ではマープルがわりとはやめに登場し文庫を読み進んで、どこで登場するかが楽しみでした。マープルは、イギリス文化を知るために読んでいるのでマザーグースねたは、とてもうれしいです。マザーグースの歌を聞いても、いま一歩ピンとこないことが多かった。サスペンスで利用してもらえると、すごく親しみがもてる。映像作品で、曲がついているので楽しく聴いてから、文字で読むと音楽がよみがえる。最初に見たときは、なんとなく不思議な世界でした。2011/05/04
やきいも
112
マザーグース(英米で親しまれてる童謡)の一節に似せた連続殺人が起きる。第一の死体にはポケットにライ麦。第三の死体は洗濯ばさみで鼻をつままれていたといった具合に。その謎を解くのはおばあちゃん探偵のミス・マープル。目新しさや、ハラハラドキドキのサスペンス的要素はあまりありません。地味に展開していきます。しかしストーリーの組み立てが工夫されてます。最後には泣けるシーンもあります。地味ながらも、クリスティの隠れた名作だと思います。2016/11/22




