内容説明
愛し合いなさい、しかし愛をもって縛る絆とせず、ふたりの魂の岸辺のあいだにゆれ動く海としなさい。(「結婚について」より) 深い思索の中から紡ぎだされた、静かな叡智に満ちた詩の数々。人生の礎となる一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
113
レバノン生まれの詩人ジブラーンの詩に、訳者の神谷さんが解説を付けたもの。スケールが大きくて、読み手の心やものの見方を広げてくれる詩には、一読の価値がある。ジブラーンは詩を通して、美の世界よりも人間の生き方を探った詩が多くて、彼は人間探求派の詩人と言えるかもしれない。「あなた方の日々の生活こそ寺院であり、宗教である」という「宗教について」が一番気に入った。この詩にはすべての人間を包み込む温かさと優しさがある。2015/02/26
モリー
63
数篇の詩が私の心を掴んで離さない。その詩の一部ずつを記録しておこう。🌍「なんと寛容なものであることか、地球よ。私たちはあなたから元素をひきぬき、大砲や砲弾をつくるのに、あなたは私たちの元素から百合やばらの花を育てる。」【おお地球よ】より。🌼「わたしは青空から落ちた星、みどりのじゅうたんの上に落ちた星。わたしは大気の力の生んだ娘、」【花のうた】より。💓「愛し合いなさい、しかし愛をもって縛る絆とせず、ふたりの魂の岸辺の間にゆれ動く海としなさい。」【結婚について】より。⚫「あなたの苦しみはあなたの心の↓2023/01/09
ネギっ子gen
39
神谷美恵子氏の著作を、文庫本で読めるのが嬉しい。魂に響くジブラーンの詩を、神谷美恵子の名訳で。「結婚について」:<愛し合いなさい、しかし愛をもって縛る絆とせず、ふたりの魂の岸辺の間にゆれ動く海としなさい/ともに歌い喜びなさい。しかしそれぞれひとりであるように>。深い思索の中から紡ぎだされた、静かな叡智に満ちた詩の数々。解説は、加賀乙彦氏。その題名は、「宇宙的な壮大な詩の世界と聡明で善意にあふれた訳者との幸運な出会い」。見事な要約。ジブラーンは、著者と縁が深い美智子妃からプレゼントされたのが切っ掛けとか。⇒2021/07/06
Koning
26
現レバノン(当時はオスマン帝国)のマロン派出身のハリール・ジブラーンの詩を神谷美恵子氏が紹介するという詩集というか解説書というかまぁそういう感じの本。東宮妃殿下だった頃の皇后さまにこの本をいただいたそうで(レバノン大統領からいただいて愛読されていたとか)。この出会いもすごいんだけど、そもそものマロン派というかあのレバノンの地域もややこしくてマロン派はご近所のシリア正教と近い感じの教派だったけど、12世紀頃だっけ?にカトリックに帰一して典礼は東方正教会、教義はローマカトリック。ここの司祭の家庭出身なのに(続2015/02/05
さばずし2487398
23
キリスト観として書かれているが、その世界は大きくその枠を超えていて伸びやかであり、美しい。透き通る風に当たっているように言葉が染み込む詩だった。どちらかというと日本の神道に近いように感じる。 「理解されるとは平らにならされるだけ。挫折を喜べ」にはたと立ち止まり、「話したのは私か?私もまた聞き手だった」に色々考えさせられる。訳者の神谷氏の解説も素敵だった。2021/01/27