新潮文庫<br> アメリカひじき・火垂るの墓

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新潮文庫
アメリカひじき・火垂るの墓

  • 著者名:野坂昭如【著】
  • 価格 ¥693(本体¥630)
  • 新潮社(2011/10発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101112039

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内容説明

昭和20年9月21日、神戸・三宮駅構内で浮浪児の清太が死んだ。シラミだらけの腹巻きの中にあったドロップの缶。その缶を駅員が暗がりに投げると、栄養失調で死んだ4歳の妹、節子の白い骨がころげ、蛍があわただしく飛び交った……戦後どれだけの時間が過ぎようと、読む度に胸が締め付けられる永遠の名作『火垂るの墓』をはじめ全6編を収載。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

497
野坂昭如の比較的初期の短篇を6篇収録。巻頭の2作「火垂るの墓」と「アメリカひじき」は第58回(1968年上半期)の直木賞を受賞。この2作は、書かれた時期こそ近いのだろうが、文体も主題もともに大きく異にしている。「アメリカひじき」は、戦後22年を経てなお進駐軍のアメリカ人に対するコンプレックスが作品を形成しているが、一方の「火垂るの墓」は、大戦末期の神戸空襲から戦後まもなくの三宮を舞台に展開する。妹、節子の語りがなんとも哀切である。そして、それを導いてゆく野坂独特の切れ目のない饒舌体が極めて効果的である。 2021/02/17

yoshida

210
大東亜戦争の末期から敗戦後の日本を生きる人々を描く短編6編。夏に読むつもりが読み終えてしまった。まずは標題作の「火垂るの墓」。映画では戦争の被害が両親を喪った兄妹に襲いかかり、観る度にやるせなくなります。原作では無駄なくコンパクトに纏り、映画の情景が浮かんできます。「アメリカひじき」でのかつての進駐軍だった男を必死に接待する俊夫の悲しさ。二人の関係が敗戦後も続く日米関係を象徴するようでやるせない。「焼土層」の家族の離散。最後に一緒になる両親に悲しくなる。戦後は確かにあり、忘れてはならないと改めて思った。2017/06/12

kaizen@名古屋de朝活読書会

168
【直木賞】NHK TV Jブンガクの2009年6月に紹介がありました。 火垂るの墓ではなく、アメリカひじきの紹介でした。 「一時しのぎ」 は、 Anything is better than nothing. とのこと。 「アメリカひじき」は、アメリカの紅茶とのこと。2009/07/01

ケイ

150
再読。初読の時は子供を見殺しにするのか…と衝撃的だった。しかし、死は救いであるのかもしれないと今回は少しホッとする。ドロップの蓋から流れ出した妹の魂と一緒に彼も昇天したのかとも思える。戦争の時の話をきれいに書こうとしても仕方ない。現実はこうであったのだと知らしめる。アメリカひじきでは、終戦時に子供だった彼らはアメリカに対する激しい憧れと劣等感を持っていたのだと改めて思った。2016/07/10

こーた

139
「火垂るの墓」の映画は何度か観た。この悲惨はアニメーションでしか描けない、アニメ表現は現実以上にリアルであり現実を超える、とおもったものだが、原作はそれを文体でやっている。関西弁の捲し立てるリズムは詩のようであり、残酷とユーモアの緩急があって、意識の流れのように過去と現在がシームレスに繋がる。そうそう、この語り口だよ、この時代の悲惨を描く文体というのがあって、それでしか描けないものがあるんだ。これこそが文学である。戦時の悲惨、というよりは、戦後ゼロ年の(実際には戦後数年だが)それを描いた六篇。2025/01/31

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