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内容説明
平和を説くキリスト教が、なぜ十字軍など戦争を起こしてきたのか? キリスト教信者には偽善者が多いのではないか? 信仰心に篤い人が、不幸な目に遭ったりするのはなぜか? キリスト教徒によるユダヤ人迫害などの事例から、神とは何かを真摯に問うラディカルなキリスト教思想の入門書。
目次
第1章 平和を説くキリスト教が、なぜ戦争を引き起こすのか(イエスは戦争を肯定していない 大義から外れた「十字軍」 ほか)
第2章 キリスト教の説く「愛」とは何か(「よきサマリア人」の譬え話 「永遠の命」を得るために ほか)
第3章 「神」の問題から神へ(神は本当にいるのか? キリスト教の創造神話は一つの世界観 ほか)
第4章 信仰、祈り、そして「あなた」との出逢い(祈ることは頼ることか? ボンヘッファーの言葉から ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
20
第1章の題名が、「平和を説くキリスト教が、なぜ戦争を引き起こすのか」。当然の疑問。かつては十字軍、近年はアイルランド紛争。魔女狩り、異端裁判etc. 第3章では、「もし神が存在するのであれば、何故善人が不幸になるのか」という「神義論」が俎上に。この章ではリンカーンの有名な大統領再選時の就任演説を引用。「(南北)両者ともに同じ聖書を読み、同じ神に祈り、そして各々敵に勝つため、神の助力を求めて」いると。その上で著者は、「神への信仰は、盲信ではなく、さまざまなものに配慮しながら努力するもの」と。まったく同感。2019/11/19
寛生
9
「キリスト教を問い直す」というタイトルを書店で見たときの印象と、実際に読み終わったあとの感想、印象とにギャップがありすぎる。つまり、タイトルの付け方に疑問を持つのは僕だけか?著書の最初では、土井氏が、「キリスト教を問い直そう」とする試み、勢いが感じられるが、50ページをすぎた後から、その勢いは衰える。「キリスト教」ということばと「福音」ということばを使い分ければよかったようにも思う。2013/04/28
うえ
4
通俗道徳的な部分が多い。が、興味深い点も「一神教と多神教を比較するということ自体が、一神教を見誤っている…なぜなら一神教はそのような比較を絶するものだから…さまざまな神と比較された段階で…唯一神は唯一神でなくなります。そもそも、一神教、多神教という宗教学的な分類自体がある特殊な立場からなされたもの…この分類は、神の存在を認める有神論的宗教観にもとづいています…多神教が同一地平にあるものと論じられるのですが、そのこと自体が一神教の立場からは肯定できない」ほらな!多神教に寛容になれというのは死ねと同義なのだ!2017/04/19
aki
2
看板(タイトル)に偽りあり。どちらかといえば「キリスト教を弁護する」のほうが適当だが、それにしてもヌルい。第1章「平和を説くキリスト教が、なぜ戦争を引き起こすか」を書きのばして1冊にしたほうがよかったかも。キリスト教徒のなかにも良心的兵役拒否をした人間がいることをもって、キリスト教は戦争指向の宗教ではないと説くが、問われているのは個人ではなく、キリスト教が教団として戦争・迫害・弾圧・差別の起点となってきたことだ。萌芽はイエスの教えそのもののなかにある。イエスは「天国へ行ける人間=義人」と2013/11/08
マイ
1
神がいるのなら、なぜ虐待は起きるのか。なぜ天災は起きるのか。なぜ神の名の下に戦争をするのか。 そういう問いに真正面から向き合う一冊。その真摯さに拍手。そういうのが聞きたかったんです。 ただ、その回答には詭弁感が漂う。戦争をするのはキリスト教ではなくキリスト教と政治が結びついた時だ、とか、 神の業を表すために目が見えない人が存在する、とか。そうなの?聖書には確かにそう書いてあるのかもしれないけど、なんか自己弁護感が強く納得できない。2015/01/04