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内容説明
人間は現在約三〇〇種いる霊長類の一種であり、人間の男性はさまざまな霊長類のオス性を受け継いでいる。また、人間の男女の違いは人間の男とサルのオスの違いよりも大きいことがしばしばある。それは人間の行動が生物学的な性差を色濃く反映し、霊長類の性差のある社会性から受け継いだ特徴を強く示したりするからである。本書では、サルからヒトへの進化を通じて、オスからオトコになるために人類が経験しなければならなかった事柄を検証し、現在の男という性を破滅に追い込んでいる原因を探る。
目次
第1章 オスに求められること
第2章 メスと共存するために
第3章 セクシーなオスたち
第4章 父親の由来
第5章 オスたちの暴力
第6章 オトコの時代、男の未来
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Taka
15
ホモサピエンスの暴力性について、科学者の目を通して見れば、面白い学問に変わる世界を闊歩する人も、樹木の中で暮らす類人も、みんな子孫を残す為に進化してきたのだ。子殺しという暴力性も、嫌がる雌にのしかかる行動さえも、確率的にはこのような生物の視線から見ることができる。ヒトは性愛で生まれる特別な感情から信頼を得た時、オンナやコドモを命懸けで守る。暴力性はある。しかし、人間の類人との違う本性はそれを断念することで互いを結びつけること。抑制によって引き出される遊びの楽しさ。遊ぶための仮想を作る能力と感性を磨け。2023/12/13
樋口佳之
8
そこで男は自己実現への欲望を抑え、集団に献身することが求められる。そこで必要なのは闘いに勝つ力ではなく、自分が得る以上に他人に与える自己犠牲の精神である。2017/08/01
たお
7
オスがオトコになり、オトコが男として進化する過程を類人猿の社会比較を通して確認する。群や社会構造の進化発達を辿っる過程が興味深い。性の有り様と社会構造の形態は深く繋がっている。切れ味のいい文章で、たいへん面白かった。 おまけ的に 本書の主題ではないが、ホモセクシャルはどの進化段階にも当たり前に存在する関係であることも、興味深い。旧態依然とした体制がなぜ、盲目的にそれを忌避するのか、その裏にある物に興味を覚えた。2016/03/13
Kazuo Tojo
0
こういう切り口で男の起源を求められことに意外性をまず感じる。ゴリラやチンパンジー、他の類人猿の動向は勉強になった。子ども殺しは今、問題になっている虐待と関連があるのだろうか?また、暴力は性格の問題ではなく元々のオスとしての意味合いがあるのでは・・・いろいろと生体を調査した結果で説得力がある。2015/06/11
寺島ヒロ
0
類人猿研究を専門分野に持つ著者が、オスという性に着目して、現存する類人猿と人間を比較研究しオトコというものの進化について生物学的、文化的側面から語った本。「人類は人類になる前からオスは(メスから)分かれていた」との言葉にははっとさせられた。私の側にいるオトコはもしかしたらチンパンジーのメスより理解できない存在かもしれないのだ。2013/11/13