内容説明
満州国軍将校に嫁ぎ幸せに暮らすよしの運命は、ソ連軍の奇襲で一変する。夫と生き別れ、日本を目指す逃避行が始まったのだ。狭く汚い無蓋貨車での移動、200キロの山越え……。乳飲み子を抱えての400日余りの壮絶な引き揚げの旅を綴る感動のドキュメント。
本書は、文庫版『光さす故郷へ よしちゃんの戦争』をもとに、サブタイトルを改題のうえ電子化したものです。
目次
よしの生い立ち
満州へ
夫婦
芥子のある楽園
初代
激変
青空列車
終戦
地下室
救いの手
付添婦
安東市脱出
逃避行
葫蘆島を発つ
この子は生きてます!
光さす故郷へ
帰還、そして
再出発
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ga-ko
13
自分も非常に危険な状況で、人に優しくできるようになりたいと願っている人は多いと思うが、難しい。平和な世界になることを、こんな状況になることは二度とないように心から願い。2015/10/07
のんき
3
南伸坊装丁本。…というきっかけがなかったら読まなかったであろうジャンル、満州もの。満州について一般的知識しか持たない著者が、半世紀の間誰にも語られなかった大伯母の経験を聞き、まとめたもの。ここにある距離感が、満州について何も知らないと言っていい私でも無理なく読めた一因だと思った。でもなにより大きいのは大伯母「よしちゃん」の人柄。偶然に近い出会いだったけどこういう人のことを読めてよかった。2009/09/05
れいん。
2
著者の大伯母が経験した満州から日本へ引き揚げてくるまでの過酷な日々。昨年亡くなられた藤原ていさんの「流れる星は生きている」などで満州から博多港に着くまでに、たくさんの人が大変な苦労をされた話は知ってはいましたが、一人ひとりに違う人生があって、その経験を辛く苦しい思いをしながらも話してくれる人がいること、それを朝比奈さんのように本にして伝えてくれる人がいること、それを無駄にしないように語り継いでいかなくてはならないと強く思いました。間違った方向にいかないように、皆が自分の故郷に帰りたいと思えるように。2017/02/15
Gen Kato
2
つらくていたましい引き揚げの記録文学。70年前、こんな苦しい思いをしたひとたちは、どのくらいいたのか…2015/07/04