角川文庫<br> 風果つる街

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角川文庫
風果つる街

  • 著者名:夢枕獏
  • 価格 ¥682(本体¥620)
  • KADOKAWA(2013/09発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784041626153

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内容説明

その老人はみごとな銀髪をしていた。その瞳は異様な光を帯び、ノラ犬を思わせた。加倉文吉、人はその男のことを「真剣師」を呼ぶ。賭け将棋のみで生活をしているもののことである。旅から旅へ、俗世間のしがらみをすべて断ち切って、ただただ強い相手を求めて文吉は生きる。夢を諦めて師匠の妻と駆け落ちした男、父の敵を追い求める女、プロ棋士になり損ねた天才……。将棋に取り憑かれた男と女。その凄絶かつ濃密な闘いを描ききった連作集。★

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ntahima

30
【再読】高校生の頃、芭蕉の『日々旅にして旅を栖とす』生活に憧れた。大学生になるとスケールダウンして『古本、せどり旅』を繰り返しながら生きられたらと思ったりもした。バイオレンス伝奇は読まない私にとって夢獏と言えば1に格闘モノ、2に山岳小説だが、本作は1の変格モノ、一種の異種格闘技?と言おうか、将棋に格闘技モノの手法を導入した異色作。将棋協会に属さず旅に流離う真剣師達の悟りきれない人生の軌跡を描く。将棋はできないがこんな風に前のめりにつんのめって生きられたらと思う。次は釣りを格闘技に変えた『鮎師』でも読むか。2015/05/22

そうたそ

26
★★★★☆ 賭け将棋だけで生計を立てる真剣師を描いた物語。ただ強い相手のみを求め俗世間のしがらみを断ち旅を続ける真剣師加倉文吉が主人公となる。夢枕さんの作品としては一風変わったテイストではあるが、ある意味では格闘小説を数多く書いてきた著者の作品の延長線上にあるとも言えるかもしれない。将棋を指すシーンの迫力たるや、拳と拳を交えはしないが、本物の格闘に劣らぬ凄みが感じられる。長時間の勝負を終えた後の様変わりした顔などまさにそれを思わせる。プロ棋士とは違う世界を生きる者達の哀愁のようなものを感じた。2018/02/03

あかつや

7
賭け将棋だけが食い扶持で、その日暮しで日本中を旅して回る真剣師の老人・加倉文吉。将棋に狂った者たちの戦いを描く。勝負を書かせりゃ格闘技だろうが将棋だろうが、なんでもいけるな夢枕獏、さすがだ。やはりすべての勝負事が根っこの部分で繋がってるからなんだろうな。プロ棋士くらいの思考力があれば柔術とかやらせたら強くなるだろうなと思ったりもする。真剣師は決してきらびやかな表舞台には立てない絶滅寸前の男たちで、勝負に勝ったとしても幸福な未来なんて見えないんだけど、それでも勝負を追求するまじりっけなさがかっこいいなあ。2022/11/17

コリディ

7
10点。以前読んだのは30年くらい前?この世界観好きだなー。真剣師とくすぶり。最近は塩田さんの「盤上のアルファ」なんだろうが、昭和の時代感も素敵、どちらかというと「麻雀放浪記」に近い。男のロマンを感じさせる小説。2020/09/13

きゃみ

3
将棋をできるひとってほんとにかしこいと思う。2011/12/18

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